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零から始める恋の方法
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何でもやってるんだね」


 「いうほど何でもやってるわけじゃないですよ」


 ただ、何故か家にあったからついででやってただけだし。
 そもそも、独学だからちゃんとできているかどうかも分からない。


 「でも、なんでピアノ?」


 「えー、憧れるじゃないですか!」


 「そ・・・そうなんだ・・・」


 目をキラキラと輝かせつつ迫る私の剣幕に少し引く利英さん。
 ひどいですねー。
 でも、こう・・・ピアノを弾いている女の人ってコンサートで見ると格好いいですし。
 いつか私もあんな風に・・・ってCM見て思ってた時期もありましたしね。


 「利英さんはあこがれないんですか?」


 「うーん・・・どっちかっていうと巨木を三秒で両断できる人に憧れるかなー・・・」


 ・・・どういう基準で人を見ているんだろう。
 そもそも、日常的に巨木を斬る人ってそんないないよね?
 しかも三秒って・・・人間業じゃないでしょ。


 「は・・・はあ・・・。とりあえず、行きましょうか!!」












 ピアノ同好会は同好会というだけあって、去年で来たものらしい。
 しかし、部員は皆精鋭ぞろい。
 みんながみんな聞く人を感動させるような素晴らしい演奏を披露してくれた。


 「弾いてみますか?」


 「え?いいんですか?」


 「ええ、もちろん。ちょっと鍵盤重いから注意してくださいね」


 本当だ・・・。
 重・・・。


 えーと・・・ここがドで・・・確か八個先の白い鍵盤がもう一個高いドで・・・。
 なんとなく音階をなぞって引いてみる。
 しかし、ソからラに移るのが難しい。


 「そこはミのところまで中指を使った後、ファで親指に切り替えるとうまくいきますよ」


 へえ・・・。
 って、難しすぎ・・・!
 そんなの出来ないよー・・・。


 ・・・で、隣で引いている利英さんなんだけど。


 「ふう」


 なんでそんなうまいの!?


 「すごい・・・何かやってたの?」


 「いえ・・・見よう見まねで」


 「さ・・・才能を感じるわ・・・。あなた!ぜひピアノ同好会に入部しない!?」


 「え・・・まだ見てないものもあるんだけど・・・」


 「じゃあ、全部見終わってからでもいいから!いい返事期待してるからね!!」


 利英さんが熱烈な歓迎を受けている。
 なんかちょっとうらやましいなー・・・。


 「そうそう!上手じゃない!」


 私もなんとか音階をなぞれる程度には成長できた。











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