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何かわからないうちに
第八章

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「大輝君のこと好きよ」
「自分から言うんだ」
「その言葉は」
「僕だってだよ」
 その大輝もというのだ。
「沙織ちゃんのことが好きだよ」
「そうなのね」
「ずっと一緒にいて」
 そしてというのだ。
「沙織ちゃんのことを知ったうえでね」
「私のこと好きなのね」
「そうだよ」
 こう沙織に答えた。
「ずっと一緒にいたいよ」
「そうなのね、それはね」
「沙織ちゃんも?」
「私も。大輝君のことよく知ってるから」
 だからだというのだ。
「ずっと一緒にいたいから」
「結婚しても」
「相手は大輝君以外考えられないから」
 ここまで言う沙織だった。
「宜しくね」
「じゃあお互い答え出たわね」
「そうね、ただね」
「ただ?」
「最初はお父さん達の間で決められたわね」
 沙織は話を二人のはじまりの時に戻した。
「そうだったわね」
「うん、僕達がまだ物心つくかつかないかの時にね」
「あの時は何が何かわからなかったわね」
「そうだったね、僕も沙織ちゃんもね」
「そのことがわかってきて」
 そしてというのだ。
「成長していって」
「その間ずっと一緒にいていって」
「お互いのこともわかって」
「それでだからね」
「今に至るけれど」
「何か結婚することも」
 大輝はしみじみとした口調で言った。
「決まっていて」
「それでね」
「うん、今にまでなるけれど」
「それでもよね」
「お互い一緒にいるうちに知っていって」
「好きになって」
「自然にかな」
 まさにだ、一緒にいるうちにだった。
「お互いじゃないとって思える様になってるね」
「そうね、社のこともね」
「僕沙織ちゃんと一緒ならね」
「私も。大輝君と一緒なら」
「凄く大きくて歴史のある社だけれど」
 それでもとだ、大輝は言うのだった。
「二人ならね」
「やっていけるわね」
「一人なら無理でも」
「一緒なら」
「他の皆もいてくれるし」
「二人でやっていきましょう」
「それなら」
 二人で話してだった、そしてだった。
 大輝と沙織は両親達のところに再び出てだ、二人で答えた。
「僕達これから」
「二人で大社に入らせてもらいます」
「そうか、わかった」
 研一も頷いてだ、そのうえで。
 式の用意を一族に言った、二人は大学を卒業すると結婚して大輝は社に婿入りしてだった。沙織と共に社を預かる為にさらに共に歩んでいくのだった。


何かわからないうちに   完


                         2015・5・17
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