第四章
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「あの二つは」
「どうですか、この二つ」
「召し上がられますか?」
「そちらも」
「普通の食べものもいけますよね」
「確かに血で最も栄養を摂るが」
それでもとだ、モスコヴィッチも地元の妖怪達に答える。
「私もだ」
「そうですよね」
「普通の食べものもいけますよね」
「お料理も」
「そちらも」
「一応は。では」
彼等の言葉を受けてだ、モスコヴィッチも言った。
「食べてみるか」
「どうぞ、この国は大蒜だけではありません」
「トマトもよく使いますよ」
「そしてワインも」
「どんどん飲んで下さい」
「そうするか、しかし全く違うな」
地元の妖怪達から宴に出されているスペイン料理を差し出してもらいつつだ、モスコヴィッチはこうもぼやいた。
「ルーマニアとは」
「同じラテン系国家ですけれどね」
「あちらは東欧、こちらは地中海」
「やっぱり違いますよ」
「何もかもが」
「そうだな、欧州とはいってもな」
しみじみとして言うのだった、そうして。
彼はトマトやワインも口にした、大蒜臭い血だけでなく。
そうしてだ、こう言うのだった。
「こちらは大蒜を入れないとな」
「大丈夫ですよね」
「いけますね」
「美味い、オリーブもいい」
オリーブオイルを使った料理もというのだ。
「こちらもな」
「ではですね」
「こちらも食べましょう」
「是非共」
「そうしましょう」
地元の妖怪達も勧める、そして。
モスコヴィッチは宴の後でだ、屋敷に戻ってからハスキルに対して酒が入っている顔でこう言ったのだった。
「少し考えたが」
「はい、何でしょうか」
「大蒜の臭いと味はな」
吸血鬼にとって苦手なそれからのことだった。
「消してだ」
「そして、ですね」
「飲んでいこう」
「人の血も」
「さもないとな」
「臭くてまずくてですね」
「飲めたものではない」
スペイン人の血の臭いと味を思い出しての言葉である。
「さもないとな」
「では」
「工夫だ、あと日光はだ」
「我慢しますか」
「サングラスをかけよう」
「せめて目はですね」
「それと帽子だな」
これも被ろうというのだ。
「半袖を着ることが多いが腕には日を防ぐクリームを塗る」
「そしてですね」
「ガードもしてな」
「お昼に出て」
「血を吸おう、それにサングラスをしているとだ」
目への日光を防ぐだけでなく、というのだ。
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