第四章
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「ちょっとなあ」
「話してみると」
「田中君ってな」
「明るいわね」
「普段はただスイッチが入っていなかった?」
「それだけ?」
こう言うのだった、彼等の間で。
「やっぱり」
「それでなのかしら」
「ううん、それで」
「ひょっとしてかしら」
「猫の話でね」
「そのスイッチが入った?」
「素は明るい?」
こうも考えられたのだった。
「もう身振り手振りまで入れて」
「猫の話になると夢中になって」
「無類の猫好きだったんだ」
「それは間違いないよな」
こう話してだ、そしてだった。
皆は実際に圭一の家にその日曜日に遊びに来た、するとそこはだ。外は普通の一軒家であった。だが。
中に入るとだ、その家の中の至るところにだ。
猫達がいた、様々な種類の。その数はというと。
「十匹より多くない?」
「何かね」
「二十匹はいるんじゃ」
「そうよね」
「あっ、十匹っていうのはね」
案内をする圭一がだ、彼等に明るく言う。
「それは雄のことで」
「雌も入れるとなの」
「これだけの数になるの」
「そうなんだね」
「二十匹いるよ」
雄猫と雌猫それぞれの数を合わせると、というのだ。
「今はね」
「多いな」
「何か猫屋敷みたいに」
「あちこちに猫がいてね」
「それこそ」
見ればどの猫達も寝そべっていたり欠伸をしたりとことこと歩いていたり御飯を食べていたりだ、マイペースで動いている。
その猫達を見てだ、皆思うのだった。
「猫屋敷」
「そのものよね」
「何かね」
「そんなのだけれど」
「いい感じだよね」
その猫達を見てだ、圭一は目を細めさせている。
そうしてだ、傍にいる猫のうちの一匹、見事な銀色の毛並みのペルシャ猫をいとおしげに撫でながら言った。
「お家の中に猫が一杯いるって」
「猫の何処が好きなの?」
女の子の一人が圭一に問うた。
「一体」
「全部だよ」
「全部なの」
「何処が嫌いなんてないよ」
それこそ、というのだ。
「猫だとね」
「全部好きなの」
「何処もかしこもね」
「お鼻も耳も」
「足も尻尾も喉もね」
まさにそれこそ全てであった、実際に。
「好きだよ」
「そうなのね」
「それにね」
さらに言う圭一だった。
「声もいいよね」
「ああ、鳴き声」
「それも」
「だから子供の頃からね」
「大好きなのね」
「そうなんだ」
「うん、いや本当にね」
圭一はとにかく喋る、普段とは全く想像出来ない位の勢いで。そうして猫達を彼等に見せつつさらにだった。
彼等をピアノのあるリビングに案内してだ、こうも言った。
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