暁 〜小説投稿サイト〜
黒魔術師松本沙耶香  紅雪篇
8部分:第八章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
ら手を離し顔を彼女に向けてきている。顔も曇ったものから真摯なものになってきていた。
「雪女なのかも」
「その根拠は!?」
「勘よ。いえ」
 だがここでそれを訂正してきた。
「何かね。何処かで見たような」
 今度は沙耶香が考える顔になってきた。右手をその整った顎にかけてきていた。
「何処かで」
「思い出せないの?」
「申し訳ないけれど今は」
 そう答えるしかなかった。
「そこまではね」
「そう」
 その言葉を聞いて明らかに落胆した感じになっていた。
「ならいいわ」
「そうなの」
「どちらにしろ今この雪を何とかできるのは貴女だけみたいね」
 また窓の雪を見た。相変わらず降り止む気配はなかった。
「警視庁のそれ関係のスタッフは?」
「残念だけれど」
 空しく首を横に振るだけであった。それだけでわかる。
「何もね。掴めていないわ」
「やっぱりね」
「当然私もね」
 そして今度は苦笑いを浮かべてきた。
「交通課に何となく人を調べてももらっているけれど」
「それにさっき会ったわよ」
 沙耶香はくすりと笑ってそれを述べてきた。
「やけに初々しくて真面目な婦警さんにね」
「そう。けれど」
 ここでじっと沙耶香を見据えてきた。目の光がまた鋭くなる。
「頂いていないでしょうね」
「そちらを尋ねるの?」
 佐智子も沙耶香の嗜好は知っていた。知らない筈がないと言ってもいい。だから今尋ねてきたのである。沙耶香を見据えて。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ