8部分:第八章
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ら手を離し顔を彼女に向けてきている。顔も曇ったものから真摯なものになってきていた。
「雪女なのかも」
「その根拠は!?」
「勘よ。いえ」
だがここでそれを訂正してきた。
「何かね。何処かで見たような」
今度は沙耶香が考える顔になってきた。右手をその整った顎にかけてきていた。
「何処かで」
「思い出せないの?」
「申し訳ないけれど今は」
そう答えるしかなかった。
「そこまではね」
「そう」
その言葉を聞いて明らかに落胆した感じになっていた。
「ならいいわ」
「そうなの」
「どちらにしろ今この雪を何とかできるのは貴女だけみたいね」
また窓の雪を見た。相変わらず降り止む気配はなかった。
「警視庁のそれ関係のスタッフは?」
「残念だけれど」
空しく首を横に振るだけであった。それだけでわかる。
「何もね。掴めていないわ」
「やっぱりね」
「当然私もね」
そして今度は苦笑いを浮かべてきた。
「交通課に何となく人を調べてももらっているけれど」
「それにさっき会ったわよ」
沙耶香はくすりと笑ってそれを述べてきた。
「やけに初々しくて真面目な婦警さんにね」
「そう。けれど」
ここでじっと沙耶香を見据えてきた。目の光がまた鋭くなる。
「頂いていないでしょうね」
「そちらを尋ねるの?」
佐智子も沙耶香の嗜好は知っていた。知らない筈がないと言ってもいい。だから今尋ねてきたのである。沙耶香を見据えて。
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