暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第95話 悪魔の懐に
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
黙ってやられるのを見ているだけなんて出来るはずも無かったんだ。もう、すぐさま飛び掛っていくだろうと頭では理解出来ていたがキリトの身体の反応は遅れていた。
 考えを張り巡らせた性か、即座に反応できなかったんだ。……だが、今にも飛び掛りそうな彼女達だったけれど……飛び掛ることはなかった。



「うおあああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」



 先に……この場の誰よりも先に、雄叫びを上げていた男がいたから。白銀のコートとその鮮やかな乱れ刃の刀身を掲げながら。その手にある刀身が光り輝く。

「クリティカル……ブレードぉぉぉっっ!!!!」

 “極長剣 上位剣技”《クリティカル・ブレード》

 直線状の敵を薙ぎ払う光の線。……まさに空の闇に輝く天の川。
 このSAOでは投擲以外では無いと言われているが、それは遠距離からの攻撃。だが、勿論その剣閃から離れれば離れている相手ほど威力は落ちていく。近距離ならばダメージは遥かに高いが、遠距離では低いのだ。幾ら広範囲の攻撃とは言え、離れた相手にはさほどダメージは期待できない。

 だが……。

「グルルルルっ!!!」

 青眼の悪魔は標的を変えさせる事は十分に可能だった。そう……、リュウキの方へと憎悪値(ヘイト)を向ける事に成功した様だ。
 そして、その巨体に怖気付くことなくリュウキも右足を一歩踏み出した。大地に穴を開けるが如く踏みしめると空気をめいいっぱい吸い込み。



『お前の相手はこの俺だ!! かかってこいやァァァ!!!!』



 この部屋全体をその咆哮とも呼べる声量で振るわせた。それは、いつか……聞いた事のある、あの台詞だった。

 仲間を助ける為に……、命を賭けた彼の《デュエル・シャウト》だった。

 正直……、他の皆は、あの時共に戦った皆は聞きたくない言葉だった。それは、自分1人に敵の全ての注意を向ける技だからだ。標的を自分1人に向ける事、それは他のメンバーを助けるのにはかなり有効な手段だが、リスクは果てしなく大きい。BOSS級の敵を自分のみ集中させる事の危険性……、解らない者などこの世界にはいないだろう。

 もう、そんな言葉、正直 聞きたくなかったんだけれど……、今は考えてはいられなかった。

 そしてリュウキは、叫びとほぼ同時に、更に駆け出した。
 その場に留まっていれば、他のメンバーがターゲットになる可能性があるのだ。確実に自分1人に注意を向ける必要があるから。

「ッ!! リュウキくんっ!!」

 リュウキに続いてレイナが、疾風の様に駆け出した。

「ッ!! レイッ!!!」

 アスナもレイナに続きその細剣(レイピア)を抜刀した。

「くそぉっ!!!!」

 
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ