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知人の見たモノ
知人の目覚め

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それから小一時間程経った頃・・・・・


「ふらぁぁ、よく寝た気がするなぁ」


毛布一枚の床に横たわっていた黒髪の少女が起き上がった。


「うわっ!ごほっ!けむっ!」

「ごほっ!ごほっ…いきなりなんだろう…」

金色の霧が彼女を取り巻く。

「く、苦し、、、あ、あれ?意外と綺麗な感じだし安全…なのかな…」

鮮やかな霧に惑わされ彼女は金の霧を手に乗せて吸った。


「うらぁぁ!ごほっ!ぐは!」
「し、死ぬぅぅ…」


元々取って吸える霧では無かったのだろう。
その証拠に手ではすくえない代物だからだ。
彼女がなぜ霧を取れたかは定かではないが、とりあえず人体には有毒らしい。


(ぐっ…この煙を何とかしないと…もはや口も開けない…とりあえず床に貼って様子見するしか…)


今は太陽もちょうど90°近くまで上り詰めているころ。
ここは里と国と村の間にある谷、南方から迫り来る生暖かい風は谷の中にまでは入り込まない。
北東からくる風によって谷は寒いとまではいかないがとても涼しい程度の温度を保っている。

だが生暖かいどころではない暑い風も入ってくる時がある、今がその時なのだろう。


ギィィ…バギャャン!!


不意に大きな物音が響いた。


「邪魔するぜクソチビ」


若干猫背の何かが扉を蹴って壊したようだ。


(!?誰か来た!この家の人であれば助かるかも!)


「おい、どこだチビ」
「おーい、あぁ?居ないのか?」


(今見つけてくれないと今死ぬ!)


もっとも微量ながら霧が外に出た今、彼女の命は暫くの間保証されていることに変わりはないのだが。
おそらく気づいても居ないのだろう。

(考えるんだ!今一番有効なのは相手に気づいてもらうこと!)
(でも床に這ってる状態で気づいてもらうなんて…手段は選ぶものじゃないのなら…)


細身の身体が古びた床板を一気に駆けた。
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