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メルヘン=ロケーション
第一章

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                   メルヘン=ロケーション
 彼にだ、昼休みに一緒に社内の食堂で御飯を食べている時に言われた。
「今度の日曜遊園地に行こうよ」
「そこでデートしようっていうのね」
「どうかな」
 おうどんを食べながら私の目を見て問うてきた。
「それで」
「遊園地でデートって」
 私は彼の提案にまずはくすりと笑って返した。
「オーソドックスね」
「デートとしてはね」
「ええ、しかも高校生や中学生ならともかく」
「社会人になったら」
「もう遊園地って歳でもないんじゃないかしら」
 私はこう彼に返した。
「大人だから」
「大人っていってさ、僕達もまだ若いよ」
「お互いに二十四ね」
「まだまだじゃない」
 会社に入って二年目だ、会社の中では本当に若手だ。それで彼は私に対してこう言うのだった。
「それじゃあね」
「高校生の子みたいに」
「遊園地に行かない?二人で」
「それで何処に行くつもりなの?」
 返事をする前にだ、私はお蕎麦を食べながら彼に尋ねた。彼はきつねうどんで私は鴨なんばそばを食べている。ただ彼はそこに卵丼もある。
「何処の幼稚園なの?」
「それはもう決まってるじゃない」
「八条遊園地?」
「そこにしない?」
 彼は行こうと考えている場所もだ、私に答えてくれた。
「あそこにね」
「あそこね」
「あそこは僕も知ってるし」
「私も知ってるわ」
 彼に答えた、私も。
「あそこはね」
「そうだよね、子供の頃から行ってるから」
「近所にあるからね」
 私達は共に地元の企業に就職した、それで会社で知り合って交際しているのだ。
「お互いに知ってるし」
「だからなの」
「そう、それでね」
 さらにというのだ。
「返事は」
「行く場所は何処かって聞いたでしょ」
「それが返事なんだ」
「そうよ、じゃあいいわね」
「うん、今度の日曜ね」
「お弁当作って行くから」
「それも楽しみにしてるよ」
 こう二人で話してだった。
 私達はその日曜日に遊園地の前で待ち合わせをしてからその中に入った、彼は中に入るとすぐに私にこう言ってきた。
「じゃあお城に行こう」
「あそこに?」
「そう、最初はね」
 遊園地の夢のお城だ、西洋風のそのお城を模した場所に可愛い動物の着ぐるみや奇麗なお姫様達がいる。
「あそこに行こう」
「何かいきなりロマンチックね」
「だって遊園地じゃない」
 彼は笑って私に言った。
「だったらね」
「ロマンチックにっていうのね」
「もっと言うとメルヘンだよ」
「メルヘン?」
「そう、メルヘンだよ」
 そうなるというのだ。
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