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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
21.友達
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が代償だ、と条件を突きつけてな」

 ここまで言えば、ガネーシャの言わんとする事はおのずと分かってくる。
 その人物が指定した相手。それは――

「俺……という訳か?」
「そうらしい。……そして、そいつは少年の暗殺が成功するまで自分の力でアスタリスクの力を維持すると、ミネットに魔法をかけた……魔法とは名ばかりの、魂を縛る呪いをな」
(――ッ!何という威圧感だ……これが、神の怒りか……!!)

 ぎりり、とガネーシャの歯が食いしばられ、どっと冷や汗をかくほどのプレッシャーが噴出した。

「その呪いは今もミネットの心に巣食っている。フレイヤの厚意でその動きこそ封じられたが……あれは人の思考を負と闇に傾け、人心を操る類の醜悪なものだったそうだ。俺の娘にそのような汚らわしいものを……ッ!!」

 その呪いはミネットの敗北した時点でアスタリスクの力を全て剥奪し、更にはミネットの深層意識にまで入り込もうとしていたという。そうなるとアスタリスクが黒ずんだのも、その妖精のマッチポンプだったとさえ思えてくる。そこに至ってミネットは、本能的に「騙された」ことを悟った。

 全てを語るガネーシャの目にあるのはそれを実行した人物への激しい憤りと、自分自身がそれをよろしてしまったことへの強い悔恨。大らかな印象を受ける彼も、今回ばかりは許すことが出来ないらしい。彼を知る者がその様子を見れば、自らの目を疑う事だろう。それほどに、本来は怒りと無縁な神なのだ。

 リングアベルは、ガネーシャがそのプレッシャーを抑え込んで落ち着くまで、まるで生きた心地がしなかった。

「……ふう。すまん、少し俺の溢れ出る存在感を抑えきれなくなってしまった。大事ないか、少年?」
「ああ、ご心配なく……あー、その人物はどんな存在だったか聞いてもいいだろうか?」
「やはり気になるか?俺としてはヘタに近づいて欲しくないのだが、少年は当事者だから知る必要があるな――その人物は……『妖精』だったそうだ」
「………よ、妖精?それは確かエルフの別名だったのでは……?」
「そうではない。ミネットの話では……お伽話に出てくるあの羽根の生えた小さない妖精そのものだったそうだ」
「な………なにぃぃぃッ!?」

 予想外過ぎる答えに、リングアベルは頭を抱えた。
 妖精――それは、様々な種族や神さえも存在するこの世界の中でも『幻想』とされる存在だ。幻想という事は、すなわち『この世には実在しない種族』だという事である。

「あ、新手の魔物ではないか!?」
「可能性はないでもないが、それにしては知能が高すぎるな」
「変身魔法と言うものがあると聞くが!?」
「それも考え難い。聞いた話では妖精は片手で掴めるほど小さかったらしい。そんな小さな物に化けるのは流石に無理がある。それに、ど
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