暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第79話 大切な人を守れない
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「……違う。リズは何も悪くない。それにリズが言う事……それを聞いたら……オレはレイナを……」
「わ−−解ったから。もう、落ち着いてリュウキ。大丈夫、大丈夫だから……」

 リズは、グイッと抑える。
 もうそんなリュウキを見ていられなかったから。本当にあの時のレイナを見ているようだったから。


「……オレを幻滅しただろ?」

 リュウキは立ち上がると静かにそう言った。

「え?」

 リズはきょとんとしていた。リュウキの言葉の意味がイマイチ判らなかったから。何に幻滅するのかが判らないのだ。

「……不本意なんだけど……、オレは色々と此処では言われている。だが……オレは臆病者と言う事だ。……強くなんかない」
「ああ……。なるほどね」

 リズは、リュウキにそう言われて、言っている意味が漸く判った。そして、リズは次に笑顔を作って。

「幻滅なんかしてないよっ! 逆に安心したって。」

 だから、笑顔のまま、リズははっきりとリュウキに答えた。

「……え?」

 今度はリュウキがリズの言っている意味が理解出来ていないようだ。

「ふふ、だってさ? リュウキは当事者だから、ぜ〜〜ったい知ってると思うけど……アンタの話。《白銀の勇者》って言ったら、ものすっごく有名じゃん? それはそれは、滅茶苦茶な行動張りだし、物凄い強いし……。神出鬼没だし……。 ほんとに同じ人間なの〜?? って、思っちゃってたんだよ? でも、そんなことなんて無いんだって、私たちと変わらない同じ人間なんだって、とても安心した」

 リズのその言葉を聞いたリュウキは表情が固まる。

「………」
「安心したよ」
「あ……りがと」

 リュウキはそう一言いう。《ありがとう》と。こんな風に言ってくれたのは初めてだから。


 その後、リュウキは、しっかりとした足取りで工房から出て行った。リズのおかげで、今まで心の奥に追いやってきたモノを出す事ができて、軽くなった。
 あの時、レイナに過去の闇を訊いて貰った時の様に。

「……レイナは、オレを助けてくれたのに……、オレは一体何を……」

 帰る道中、考えるのはレイナの事。あの時、助けてくれた人。大切な人なのに、凄く迷惑をかけてしまった。 リズが心配する程に。

 だから、リュウキは今度 勇気を持ってレイナと話そうと心に思っていた。直ぐには難しいかもしれない。だけど……必ず。






 そして、工房に残っていたリズはリュウキの出ていった方をじっと見ていた。

「……色々と抱えているんだ。それも、レイナやアスナが言う通りだったな」

 そして、リズは改めて思ったいた。

「……こりゃ、どっちも大変だ。……ちゃんと してあげないとね」


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