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逆さの砂時計
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に響いた瞬間、アリアの全身から淡い光が溢れ出し、空間内を余す所無く照らし出した。
 数秒後に光が消えると、レゾネクトに荒らされた礼拝堂が元通りに整えられていた。引き裂かれたタペストリーも、吹き飛んだ椅子も、裂かれた祭壇も。何事も無かったように鎮座している。
 「行こうか……アリア。契約は果たされていない。世界はまだ、お前の物ではない」
 アリアは、繭に包まれていた褐色の男の体を、気を失っている神父の体の横に並べて寝かせた。
 赤黒く染まっていた長衣が、新品かと思うほど真っ白に戻っている。
 「……」
 神父の黒い前髪を指先でさらりと撫でて……立ち上がる。
 「……ええ……行きましょう。私の契約者、レゾネクト」
 レゾネクトが差し出す右手に左手を重ねて、目蓋を閉じる。
 ふ……と二人の姿が消え、礼拝堂は朝の静寂に支配された。


 夜が明け。
 いつも通り礼拝に訪れた信徒が見た教会は、何処もかしこも鍵が開かれたままで。
 人の気配が一つも無く……蛻の殻だった。


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