回帰
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
に響いた瞬間、アリアの全身から淡い光が溢れ出し、空間内を余す所無く照らし出した。
数秒後に光が消えると、レゾネクトに荒らされた礼拝堂が元通りに整えられていた。引き裂かれたタペストリーも、吹き飛んだ椅子も、裂かれた祭壇も。何事も無かったように鎮座している。
「行こうか……アリア。契約は果たされていない。世界はまだ、お前の物ではない」
アリアは、繭に包まれていた褐色の男の体を、気を失っている神父の体の横に並べて寝かせた。
赤黒く染まっていた長衣が、新品かと思うほど真っ白に戻っている。
「……」
神父の黒い前髪を指先でさらりと撫でて……立ち上がる。
「……ええ……行きましょう。私の契約者、レゾネクト」
レゾネクトが差し出す右手に左手を重ねて、目蓋を閉じる。
ふ……と二人の姿が消え、礼拝堂は朝の静寂に支配された。
夜が明け。
いつも通り礼拝に訪れた信徒が見た教会は、何処もかしこも鍵が開かれたままで。
人の気配が一つも無く……蛻の殻だった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ