15部分:第十五章
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そういうことです」
沙耶香は述べてきた。
「ではいい。犯罪者でもない限りプライバシーには関わらない」
最低限の節度はわきまえている。
「しかし誰にもわからない呼び方ばかりだが」
「ふふふ」
その言葉には妖しく笑ってみせてきて述べた。
「それでもわかるのですよ。必要となれば」
「私も知ったしな」
「偶然でしたかしら」
「その通りだよ」
知事は答えてきた。
「人づてで聞いて。知事になってからな」
「私のことを知っている方は少ないので」
「少ないのか」
「ええ」
妖しい笑みのまま述べるのであった。
「あくまで。ただし」
「ただし?」
「私は私を必要とする方の前以外には姿を現わさないので」
「不思議なものだな」
笑みを浮かべる知事の顔は決して怪訝なものではなかった。むしろ楽しむものであった。
「そういうこともまた」
「自然とです」
彼女は答える。
「運命に導かれて」
「それであれかね」
彼はまた声をかけてきた。
「女性もまた」
「私の前に花が現われたなら」
彼女は語りはじめた。
「その花は私の手の中に収まる運命なのですから」
そう語る。語る声もまた妖しいものであった。音色も響きもそうであった。
「それはまた」
「ふむ。そういうことか」
「はい。そして男性もまた」
沙耶香の妖しい笑みはさらに続いた。
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