暁 〜小説投稿サイト〜
黒魔術師松本沙耶香  紅雪篇
15部分:第十五章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
そういうことです」
 沙耶香は述べてきた。
「ではいい。犯罪者でもない限りプライバシーには関わらない」
 最低限の節度はわきまえている。
「しかし誰にもわからない呼び方ばかりだが」
「ふふふ」
 その言葉には妖しく笑ってみせてきて述べた。
「それでもわかるのですよ。必要となれば」
「私も知ったしな」
「偶然でしたかしら」
「その通りだよ」
 知事は答えてきた。
「人づてで聞いて。知事になってからな」
「私のことを知っている方は少ないので」
「少ないのか」
「ええ」
 妖しい笑みのまま述べるのであった。
「あくまで。ただし」
「ただし?」
「私は私を必要とする方の前以外には姿を現わさないので」
「不思議なものだな」
 笑みを浮かべる知事の顔は決して怪訝なものではなかった。むしろ楽しむものであった。
「そういうこともまた」
「自然とです」
 彼女は答える。
「運命に導かれて」
「それであれかね」
 彼はまた声をかけてきた。
「女性もまた」
「私の前に花が現われたなら」
 彼女は語りはじめた。
「その花は私の手の中に収まる運命なのですから」
 そう語る。語る声もまた妖しいものであった。音色も響きもそうであった。
「それはまた」
「ふむ。そういうことか」
「はい。そして男性もまた」
 沙耶香の妖しい笑みはさらに続いた。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ