暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第77話 涙
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ねがい……っ だから……。話……聞い……」

 レイナは勇気を振り絞って、声をかけた。
 返答を待つこの一瞬も、話しかけるこの一瞬も、怖くて怖くて、たまらないんだ。だけれど……、ずっと、今後もずっと今の状態が続く。その未来の方が、今の状態よりもずっと辛いから。

「…………」

 レイナの言葉にリュウキは少し俯かせていた。そして、そのままリュウキはレイナの、彼女の表情を見ないように俯かせて、そして、何かを呟いて……リュウキは、工房の戸を開け、その場から立ち去っていった。

 その呟きはレイナに伝わる事が無いほどに小さいもの……だった。


「あっ………。ッ………」

 レイナは、リュウキを……黙って見送るしか出来なかった。
 何も言われず…… ただ、出て行ってしまった彼の後姿を眺めるしかなかった。

「っ…………」

 そして、力が抜けてしまったのか、ぺたりと床に膝から崩れ落ちる。

 レイナは、何が悪かったのか……ずっとそれは考えていた。リュウキに冷たくされるようになってから、ずっと……ずっと……。

『いつも……彼に言っていた言葉が悪かったの……?』
『女の子の事……偉そうに言ったのが悪かったの……?』
『ずっとわからないって言ってるのに、理不尽気味に怒っちゃったのが悪かったの……?』
『いつも、彼が見せてくれたあの笑顔も……嫌々だったの……?』
『彼の、過去……それを無闇に聞いちゃったことが、悪かったの……?』

 レイナの頭の中でそれらがぐるぐると回る。いつも以上に頭が回転していた。
 これは、いつも……相談にのってもらっている姉であるアスナにも相談できない悩みだった。相談する……と言う事は、自分はリュウキに嫌われている、と言う事を認めてしまいそうで、辛かったからだ。


「…………」

 レイナの表情はそのままだった。ただいつもと違うのは……その彼女の目から大粒の涙だけが零れ落ちたいた事だけだった。

 彼女はリュウキの事が本当に好きだった。本当に大好き……だった。

 この世界での、心の拠り所だ、って言っても良いくらいに。誰よりも……、大好きだったって思ってる。

 そして いつか必ず……告白するんだって心に決めていた。

 でも、それは叶わなかった。


『私……嫌われてしまったんだ』


 彼女はこの時、それを認めてしまった様だ。
 だから……、多分、あの時から 避けられていると意識しだしてから ずっとガマンしていた涙が、零れ落ちてしまったんだろう。

「れっ……レイ……」

 留まる事を知らない涙は、ずっとレイナの頬を伝って流れ続ける。そんなレイナを見たリズは、言葉を失った。戸惑ってしまって、彼女にかけるべき言葉が見つからないんだ。

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