暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第74話 鍛冶職人 リズベット
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金属鉱石《インゴット》を使い、武器も納得がいく物が出来た。それは、自分は勿論キリトにも。だから、思い切って、リズは想いを告げようとした。


 でも……その時、偶然にも店にアスナが来たんだった。


 そして、その時 アスナの表情を見て……、自分や妹のレイナと話す時とはまた違う表情を見て……、アスナの想いを寄せている相手がキリトだと言う事。リズベットは、その時に知ったんだ。









「はぁ〜〜……」

 それは、ため息 2回目だった。
 あの時の事を思い出す度に、出てしまう。……ため息を、すればするほどに幸福は逃げて行く、と言う言葉は よく聞くけれど……、何度となく、やっぱりどうしても出てしまう。

 あんな気持ちになったのは初めてで。でも、キリトの隣にいれるのはアスナの様な強い心を持った女の子じゃなきゃ……と思ったからこそ、一先ず身を引いた。

 それでも、身を引いたと言っても、それはこの世界で、の話だ。

「……第2ラウンド、するんだからね? アスナ……」

 現実世界に戻ったら、絶対にする! っと言い聞かせていた。あれから随分たっているというのに、まだこの、キリトに対する気持ち、その想いは強いから。

 その時だ。

 カランコロン、と 工房の中に鐘の音が響き渡ったのは。
 
 それは、誰かが武具店に入ってきた証。出入り口が開くと音が響くようになっているから直ぐにわかるのだ。

「あぁ……あとちょ〜っとで店じまいなんだけどなぁ……」

 っと、呟きちらりとリズは古時計の時刻を確認した。だが、まだ確かに営業中と言えばそうだ。それに、《CLOSED》と言う看板を立てかけた訳でもない。

「……駄目駄目、接客接客!」

 リズは愚痴を止め、そして考えていた事を考えるのもやめた。そして、鏡の前で笑顔をにっこりと造り、営業スマイルばっちり。接客業は笑顔が一番大切だから。
 そして勢い良く店に続く扉を開けると。

「いらっしゃいませっ! リズベット武具店へようこそ!」

 自分の中で最大級の笑顔、そして声量で迎え入れた。その店の中に立っていたのは、紺のコートを羽織った男?だった。


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