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逆さの砂時計
解放
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なかったのは、本当に消滅させればロザリアが居なくなると解っていたからだ。躊躇った挙げ句に器を共有し、感情に共鳴して、余計に思慕を募らせた。神父にせっせと刷り込んだ声は、ロザリアに対する貴様の欲求だ。体を重ねて喜びを得ていたのも、貴様自身。愛を知った悪魔は滅びると言うが……いや、貴様が神父に責任を押し付けて苦悶する様はなかなかの見物だぞ? 貴様の中で、アリアとロザリアは既に別者だと言うのに」
 「……レ ゾ、ネクト……貴、様……っ がはッ」
 「……! もう良いから黙れベゼドラ! 治すのが先だ!」
 さっきより吐いた血の量が多い。話に気を取られてる場合じゃ無い。
 薄い緑色の淡い光を放って……あぁ、やっぱりあっさりとは治せないのか。血が消える早さも、いつもより遅い。
 「体を戻すだけで良いのか?」
 男が肩を擦ってくる。鬱陶しい。
 「お前、煩い! 殺すぞ!」
 こっちは必死なんだよ。クロスツェルをこんなに痛め付けやがって!
 「お前が望むなら、クロスツェル神父を元に戻してやっても良いんだが?」
 「だから黙れ……って、……何?」
 男に顔を向けると、澄んだ紫の目がふわりと細められた。

 「クロスツェル神父を人間に。ベゼドラを悪魔に。二人が契約を交わす前の状態に戻そう……と、言ったんだよ。ロザリア」


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