暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
忘れ去られた悪意
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良い意味でフリーダムなので、屋根の形どころか家の形も様々だ。立方体の上に適当にデカい板を乗っけたような建築物もあるし、きちんとした三角屋根もある。
その中の、比較的足場の広い屋根の上によじ登ってユウキはカナビラから光剣の柄を引き抜いた。側面のスイッチを押すと、今はもう滅びたガス灯のような独特の音とともに紫がかったエネルギーブレードが一メートル強ほど伸長し、黄昏に照り輝く周囲を染め上げる。
ヴン、ヴヴン、と軽く素振りをしてから、何か得心を得たかのようにふんふんと頷く少女は、そこで目線を手元から周囲に向けた。
幾ばくか剣呑になった濡れ羽色の瞳が、さながらサーチライトのように辺りを睥睨する。
直後。
跳ね上がった右腕が自らの背後を薙ぎ払った。空気が焼け付く音とともに、ひときわ激しいエフェクトが舞い散る。
遠距離から飛来した弾丸を真っ二つにしたエネルギーブレードを払い、液化を飛び越えて軽く気化しようとしている鉛を飛ばした。次いで、一発目を撃ったことで場所が割れた次弾、次々弾の数瞬後の軌道を示す真紅の輝線が宙空に尾を引く。
―――
狙撃手
(
スナイパー
)
ってヤツかな。
予選からずっとマシンガンを繰る明らかなアタッカータイプばかりだったので、逆に後衛を務めていそうな狙撃手はかなり新鮮だ。そもそも剣の切っ先が容易に届かないような超遠距離から一方的に攻撃されること自体初めてである。
左右の光剣が翻り、致死のはずの弾丸がことごとく撃墜されていく。
五発を撃ったところで、狙撃は唐突に終わった。
「……よし」
とくに気負いのない声とともに現実よりも小柄な体躯がぐぐっとたわみ、足場の木屋根が悲鳴のような音を上げたのを皮切りとして疾駆を開始した。
道の整合性を無視してバラバラに配置された屋根。しかももともと雨の少ない西部アメリカの気候上の理由か、屋根の形すらも多様な種類が据えられているフィールドの大空をジグザグに切り裂いていく。
その間、進路を邪魔する看板などの障害物はそもそも回避すらしない。ブチ当たる寸前に大気を爆発させるような勢いで光の残像が幾重にも返され、金属や木製のそれらがちょうど人が通れるほどの大きさの大穴を開けてことごとく融解する。
「せい……ああああぁぁぁァァァァッッ!!」
裂帛の叫びとともに屋根の上からカタパルトのように飛び出した少女は、先刻予測線が見えた窓へと運動エネルギーのあらん限りをぶつけた。
これまでと同じように、モノを切った、という手応えはなかった。
ただ、重い空気の層を切ったような妙な感触とともにケイ素の塊が丸く白熱しながら融け、強引に入口を開く。
「……いな――――ィッ!!?」
トスッ、と。
軽い音とともに
両
(
・
)
腕
(
・
)
が鈍い痺
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