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ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第72話 純真無垢
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はグリムロックの右腕をつかんで立たせた。ガクリと項垂れる鍛冶屋をしっかり確保し、『世話になった』と短く残して丘を降りていく。そして、カインズもシュミットをフォローする形で付いて行く。ヨルコは皆の横で立ち止まり深く一礼すると、ちらりと目を見交わし、ヨルコが口を開いた。
「……アスナさん。レイナさん。キリトさん。リュウキさん。本当に、何とお詫びして……何とお礼を言ったらいいか……。本当にありがとうございました」
「いや、最後にあの2つの指輪のことを思い出したヨルコさんのお手柄だよ」
「……だな。見事な最終弁論だった。現実に戻ったら、検事か弁護士が相応しいと思うよ」
そう言うと、ヨルコはくすりと笑って肩を竦めた。
「いえ……。あの時 グリムロックを引き止めてくれた皆さんとおかげです。……そして、信じてもらえないかもしれませんけど、あの瞬間、リーダーの声が聞こえた気がしたんです。『指輪のことを思い出して』って」
「そうか……」
言い終えると同時に、再び深く一礼をした。
そして、シュミットらに続いて丘を降りていく2人を、皆で立ったまま見送り続けた。
やがて、4つのカーソルが主街区の方向へと消え、荒野の小丘には青い月光と穏やかな夜風だけが残されていた。
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