暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第72話 純真無垢
[4/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
そう言いつつも、翻そうとしていた脚を止め、リュウキを見返していた。

「オレは、様々な層を歩いてきているし、いろんな人達を見てきた。この世界で必死に生きている人や、共に戦い、抗い続けてきている仲間達、……ラフコフの様などうしようもない連中も然り、そして、その中には不幸にも仲間を失ってしまった人達とも会った事がある」

 リュウキはそう言うと、すっと視線を狭めた。

「……色んな人間(プレイヤー)を見てきた。だが、あんたの顔。……今までの話を訊いていた時、反論する時、表情の変わりと変化。瞳孔とも言える眼の変化。……とてもじゃないが、大切な人を失ってしまった悲劇の主人公とはどう見繕っても視えない」

 これは、勿論ただの推測、いや それ以下だとも言える。目の動きを観察し、その意識を読むアイ・アクセシング・キュー。それと同様の事をリュウキはしただけだ。
 無関心な部分が多いと言えるリュウキだが、人を視てきた、と言う意味では、彼が一番だろう。様々なプレイヤーを視てきたリュウキだからこその感性だとも言える。 

「随分と失礼な物言いだね。私は表情には出づらいんだ。無根拠の無いどころか、君のそれは暴論だ。《目付きが悪いヤツは、皆犯罪者、殺人鬼》 と言っている様なものじゃないのかい?」
「確かにな。……反論出来ないキリトやアスナ、レイナ達を視た時のあんたの眼、酷く喜んだ様だったから。悪いね。……視るのが癖なんだよ」

 リュウキはあくまで鋭い視線を外さない。その眼光は全てを射抜くかの様な言いようのない圧力を感じた。
 幾らグリムロックでも、そればかりは例外じゃない。確かに暴論だ。目を見た、表情を見た、と言っても こじつけとも言えるし、証拠とすらなっていないから。
 だが、あのラフコフでさえ、畏怖するその眼に睨まれてしまえば、僅かにだが萎縮してしまう。

 威圧しての尋問は、確かに現実でも冤罪を生む事もある。

 でも、この時 リュウキが足止めとして 話さなければ 彼女は あまりの事で、気が動転し 言葉を発する事が出来なかったかもしれない。

「……グリムロック」

 強い口調でそう言い、リュウキとグリムロックの間に割って入ってきたのはヨルコだった。

「君まで、無根拠で私を責める、というのかい? もう勘弁してもらいたいのだがね。彼女が眠る神聖な場所で、これ以上続けるのは」

 グリムロックは、その眼の威圧から、逃れられると思ったのか、喜々した様子が僅かにその表情に現れていた。……それはキリトにも判った。
 あの眼は、表情は濡れ衣を着せられている不安と不満ではない。どうにかして逃げ出したい、この場から離れたいと言う想いだけだと。

「私、思い出したのよ。完全に、貴方の主張を覆せるだけの事を、全部!」
「……ほ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ