暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第72話 純真無垢
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「確かに、当時私とグリセルダのストレージは共有化されていた。だから、彼女が殺されたとき、そのストレージに存在していた全アイテムは私の手元に残った。……という推論は正しい。だが、しかし……もし、あの指輪がストレージに格納されていなかったとしたら? つまり、オブジェクト化され、グリセルダの指に装備されていたとしたら……?」
「あっ……」
「っ……」

 アスナとレイナの2人は同時にかすかな声を漏らしていた。虚をつかれた、という意味では正しい反応だった。確かに、そのケースは考えられる事だからだ。グリセルダがオブジェクト化したか、否か、そして何よりも、共通ストレージから、グリムロックへと転送された時に、指輪があったか、否か。それはもう確認の仕様がないのだから。
 黒であれば、確実に売り払っている筈だし、白であれば 殺されたその時に、盗られてしまってる筈だから。
 
「グリセルダは、スピードタイプの剣士だった。あの指輪に与えられる凄まじい敏捷力補正を売却する前に、少しだけ体感してみたかったとしても、不思議はないだろう? いいかな、彼女が殺されたとき、確かに彼女との共通ストレージに格納されたアイテムは全て私の手元に残った。しかしそこに、あの指輪は存在しなかった。そういうことだ探偵君」

 何も言い返せないキリト。そのうちに強く奥歯を噛み締めていた。何とかあの主張を論破しようと材料を探すのだが、指輪がグリセルダの指に装備されていたか否か、それを証言出来るのは実際に彼女を手にかけた殺人者、恐らくはラフコフのメンバーだけだろう。それ以外、証言証拠は有り得ない。
 グリムロックが、認める筈がないから、最早八方塞がりだ。

 それを察したグリムロックは、この場にいる全員をぐるりと見わたすと、慇懃に一礼する。

「では、私はこれで失礼させてもらう。グリセルダ殺害の首謀者が見つからなかったのは、残念だが、シュミットくんの懺悔だけでも、いっとき彼女の魂を安らげてくれるだろう」

 帽子の鍔を軽く持ち上げつつ身を翻そうとした時。

「……あんたの化けの皮が、剥がれかけているぞ? グリムロックさん」
「何の事だい?」

 ずっと、黙って訊いていたリュウキ。キリトが推理をしていく時も、ただ冷静にグリムロックのその顔をじ、っと見ていたリュウキがこの時初めて口を開いた。

「まぁ、此処から先は何の証拠もない。……あんたにとってみればただの戯言に等しい。……だが、訊いていけよ。此処まで来たんだ」

 リュウキは、そう言うと奥歯を噛み締めているであろう、キリトの肩を軽くたたき、そして再びグリムロックへと視線を向けた。

「無根拠な推理を続けるのかな? ここは私にとっても神聖な場所だから、遠慮させて貰いたいんだがね」

 グリムロックは
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