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パンデン
第五章
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「というかこの卍は」
「俺達の場合はな」
「はい、どうしてもナチスですね」
「それを思い浮かべるな」
「そうですよね、まあ」
「それでもですね」
「こうしたことはな」
 それはというのだ。
「それぞれの文化の違いってやつだ」
「じゃあ服と一緒ですか」
 大山はここで気付いた、そのことに。
「パンデンとかと」
「そうだな、卍についてもな」
「そうなりますね」
「まあそれじゃあな」
「はい、お寺の中をさらにですね」
「観ような、面白いからな」 
「案内お願いします」
 こう話してだ、そしてだった。
 二人で寺の中を見回った。こうした観光が終わってだった。
 二人は山に登った、そうして登山を無事に成功させて帰国することになった。
 その帰国の前にだ、大山は自分から春日に言った。
「お土産買って行っていいですか?」
「彼女にか?」
「はい、そうしていいですか?」
「俺もそのつもりだしな」
 それでと返すのだった。
「行こうか、ただな」
「ただ?」
「あの卍の模様が入った土産ものはな」
「ああ、誤解されますから」
「こっちじゃそれでよくてもな」 
 それでもというのだ。
「日本でも他の国でも誤解されるからな」
「買って帰ってらいけませんね」
「それだけはな」
「服にします」
 何を買うかもだ、大山は話した。
「そっちに」
「そうか、俺もそれにするな」
「あのエプロンも買います」
 大山は微笑んで春日に話した。
「パンデンも」
「そうするか。じゃあ俺もパンデン買うか」
「そうされますか」
「ああ、前も一着買ったんだがな」
 前にネパールに来た時にというのだ。
「その一着はお袋にあげたからな」
「それでもう一着買って」
「そっちはかみさんにあげるな」
「あっ、先輩結婚されたんですか」
「実はな」
「そうだったんですか」
「先月な、それでそのかみさんの為にな」
 パンデンを買ってというのだ。
「買うな」
「わかりました、じゃあ俺も」
「可愛い服だから彼女喜ぶぞ」
「先輩の奥さんもですね」
「ああ、ただうちの女房結婚して一ヶ月で急に太ったからな」
 よくある話だが彼の妻もというのだ。
「大きいパンデン買ってやるか」
「じゃあ俺はかなり小さいサイズを」
「彼女小さいのか」
「一四二なんですよ」
「それはまた小さいな」
「だから子供サイズのチベット人の服とパンデン買っていきます」
 こう言ってだ、そのうえで。
 大山は実際にかなり小さなサイズのチベットの服とパンデンを買った、春日は太めのものを。そうしてそれぞれの彼女と妻にプレゼントをして喜ばれた。その後で二人で笑顔で話した。
「また行きましょう」
「その時はチョモランマだぞ」
「ええ、あの
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