第三章
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「この国は」
「アメリカ大陸全体がですね」
「元々はインディオの人達のものですからね」
「スペインが征服するまでは」
「そうでしたね」
「それを言ったら話は終わるけれどな」
それで、とも言ったイーコだった。
「まあ今のメキシコはな」
「色々な人がですね」
「同じ町に住んでいる」
「この町にしても」
「そういうことですね」
「そうだよ、まあとにかく依頼主の人な」
その人の話にだ、イーコは移した。
「ええと、ケツアルさんか」
「はい、そのウィチョール族の」
「その人ですよね」
「純血のウィチョール族でしたよね」
「そうだよ、前にも何回かお話したけれどな」
その中で聞いたことだったのだ、本人から。
「感じのいい人でな」
「ああ、変な人じゃないんですね」
「この商売変な人の相手もしますけれど」
「それでもですね」
「ケルアルさんはですね」
「いい人なんですね」
「ああ、そうだよ」
このことは間違いないというのだ。
「だからそのことは安心してくれよ」
「じゃあそのケツアルさんが待っている、ですね」
「喫茶店まで行って」
「そして、ですね」
「仕事のお話をしましょうか」
「そうしような、場所は喫茶店だよ」
そこでその依頼主と話すというのだ。
「その店はな」
「何処ですか?その喫茶店は」
「それは」
「ここだよ」
こう言うとだ、丁渡一行の目の前にだった。
白い外装の建物が前にあった、そこには看板があった。その看板の名前はスペイン語つまりメキシコの公用語で書かれていた。
「フェニーチェ、ここだよ」
「へえ、ここでなんですね」
「ケツアルさんとお話する」
「そうするんですね」
「そうするよ、じゃあ入ろうか」
イーコから言ってだ、そしてだった。
一行は店の中に入って席に着いた、すると暫くしてだった。
白が上にあり下即ち縁の方はくすんだ赤でだ。八角形の花と菱形の模様が黄色や青、黒の糸で刺繍されていて。
長方形の布を二つ折りにして真ん中に切込を入れて頭から被る上着だった。その上着は白地で首と縁の辺りがその色で中央は赤、青、オレンジ、黒と多層で色が重なっている。一番上の模様は幾何学模様で黄色の色で刺繍されている。
首にはネックレスがあり足はサンダルだ。長い黒髪を後ろで一つのおさげにしているはっきりとした目で黄色い肌の二十歳位の女性だ。眉は薄く儚げな感じさえする小柄な身体だ。
その人を見てだ、イーコは言った。
「あの人がな」
「ケツアルさんですか」
「今回のお客さんですね」
「その人の娘さんだよ」
本人ではないが、というのだ。
「一番上のな」
「へえ、可愛い人ですね」
「随分美人さんですね」
「アイドルになれそうですね」
「ああ、ただな」
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