第一章
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ウィピル=グランデ
イザベラ=ケレタロはメキシコシティーでガソリンスタンドで働いている。高校を卒業してからそこで働いている。
働きぶりは真面目で店長からも頼りにされている、しかし彼女は周りから見て少し風変わりなところがあった。
それはだ、自分が何者かと言うところだ。
「私は石から生まれたのよ」
「いつもそう言うな」
実際に聞いてみた店長はこう彼女に返した。
「イザベラちゃんは」
「はい、私達は」
「確かサポテコ族だったな」
「そうです、父も母も」
「それでか」
「サポテコ族ではそう言っているんで」
そのルーツはというのだ。
「石や岩なので」
「シャーマニズムだな」
店長はイザベラの言葉をそれだとわかっていた。
「所謂」
「そしてシャーマニズムにしても」
「変わってるな」
「普通は鳥や獣ですよね」
「まあそれも部族ごとに違うか」
インディオのだ。
「それでか」
「サポテコ族はです」
つまりイザベラ達はというのだ。
「そう教えられています」
「そうなんだな、それで君はなんだな」
「石から生まれたんです」
「そう言われているんだな」
「そうです、ただ」
「ただ?」
「私は石と違って柔らかいですから」
石の様に硬くはないというのだ。
「別に」
「まあそれはな」
「はい、石がルーツでも」
「それでもだな」
「柔らかいです」
「そうだな、しかしサポテコ族は農業だろ」
「最近は違います」
イザベラは店長にはっきりと答えた。
「そこは」
「君みたいに街に住んでか」
「働いている人もいます」
「そうなんだな」
「何か色々と言われてますけれど」
サポテコ族自体がというのだ。
「別におかしなところはないので」
「サポテコ族はか」
「商売をしている人もいますし」
「じゃあ君も」
「将来はお店持ちたいです」
イザベラはにこりと笑って店長に言った、見れば赤い肌に薄い黒い眉でだ。丸い長い睫毛を持つ瞳はきらきらとしていて唇は紅だ。黒髪を長く伸ばしていてロングにしている。顔は面長で鼻は高い。背は高く胸も大きく足も長い。
その彼女を見てだ、店長はこう返した。
「そのルックスだとな」
「人気出ます?」
「男の客からもな」
「それはいいことですね」
「やっぱりお店をやるにもな」
「ルックスですね」
「それも要素だからな、あと君は出来るから」
仕事、それがだ。イザベラは店で一番出来る店員なのだ。まだ高校を卒業して就職して日が浅いがである。
「それで経営のことを学んだら」
「お店もですね」
「繁盛するからな」
「じゃあ経営も勉強します」
「世の中全て勉強だよ」
経営についてもというのだ。
「頑張ってく
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