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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Epico28其は数多の神器を携えたる至高の王〜Rex de Historia Fabularis〜
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「頭が軽いと思えば、後ろ髪がバッサリと無くなっているな」
後頭部に触れると、後ろ髪は肩の辺りで切り揃えられていた。まぁ、海鳴市は8月だし、ちょうどいいさ。さてと、目を覚ましたことだし、それを知らせるためにナースコールを使おうとしたら「ルシル君!?」白衣姿のシャマルが勢いよく室内に入って来た。良いタイミングだ。
「シャマ――のわぁ!?」
「ルシル君!」
いきなり抱きつかれた。わけも判らず小首を傾げていると、「ルシル君は二度と目を覚まさないって言われてたのよ!」泣いているシャマルから事情を窺う。シュヴァリエルとの戦闘からなんと1ヵ月以上と経ち、すでに10月入りをしているのだと。そして、俺が負ったダメージは深刻で、再起不能の植物状態――遷延性意識障害として最終診断を下され、医務官全員が匙を投げたのだと。
「――だから私、はやてちゃん達にどうその事を伝えればいいか、悩んでて・・・!」
そこまで酷い状態だったなんて驚きだ。まるで他人事に思えるが、実際に俺が陥っていた事態。となると、はやて達にはとんでもない不安や悲しみを与えてしまったかもしれない。逢ったら謝らないと。
「だが、俺はこうして起きたし、頭もスッキリ、体調も万全、今すぐにでも戦闘が出来るほどに魔力も回復している。どんな治療を施してくれたんだ? シャマル」
そこまで最悪な状況だった俺はこうして目を覚ましている。しかもシュヴァリエルに負ける前より体の調子が良いくらいだ。だから訊ねてみたんだが、シャマルは無言。どうやら彼女が治療してくれたわけじゃないようだ。
「じゃあ、ティファ医務官か?」
「・・・いいえ」
「じゃあ誰が・・・?」
「判らないの」
「判らないって・・・。誰か心当たりは?」
「ううん」
「じゃあ、俺はどうやって目を覚ましたんだ?」
上級治癒術式のコード・エイルを無意識に発動した・・・というのは有り得ない。アレは無意識に発動できるような簡単な術式じゃない。万が一に使ったとしても、今のように意識不明に陥る前より快調になるわけがない。なら中級のコード・ラファエル・・・というのもないな。アレの治癒力ではシュヴァリエルのダメージは治せない。いよいよ以って奇蹟を信じるしかないかも、と思い始めた。
「ただ、気になることがあって・・・。私がこの病室を訪れた理由なんだけれど・・・」
「気になること・・・?」
「ええ。この病室を訪れたそうなの。・・・・エグリゴリのリアンシェルトが」
「なに・・・!?」
今から1間ほど前、リアンシェルトがこの病室を訪れたらしい。シャマルはそれを聴いて慌てて俺のところまで来てくれたそうだ。リアンシェルトは俺にトドメを刺さなかった。弱い者イジメはしたくない、と
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