クリスマスの勇気
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巡り、変な顔になっているかもしれない。
「あ、お、お兄さん…こんばんは。うまるちゃんたちとクリスマスパーティーをした帰りで…」
「なんだうまるは一緒に帰ってやって無いのか。こんな時間に女の子一人で帰らせて…」
「よかったらアパートまで一緒に帰らない?」
「は、はい。ありがとうございます。」
やっぱりお兄さんは優しいな。
とても心臓がドキドキする。顔が熱い。どうしてだろう、あんなこと考えてたからかな、私おかしくなっちゃったのかな。
「どうしたの?具合悪い?」
そんな私を気にかけてくれる。
「い、いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます。」
雪がチラチラと降り始める。雪のせいかあたりは静けさが増し、この世界には私たちしか居ないのではないかと錯覚させる。
「あ、雪だ。今年はホワイトクリスマスか…」
12月で、さらに雪まで降っているほど寒いのに、なぜか私の心は熱くなっている気がした。
ここまで体がおかしいのだ。さすがに気づかないほど私も鈍感じゃない。でも、そんなことを言ってしまったらこの関係が壊れてしまうのではないか。そんなことになってしまったらお兄さんと会えなくなってしまうのではないか。
すると、ふとうまるちゃんに言った言葉を思い出した。
「きりえちゃんと仲良くなる前にお弁当誘ってたよね。断られるか不安じゃなかった?」
「恥ずかしいし不安だけど、今話しかけなきゃ後悔しそうだったから。」
そうだ、今言わなきゃ後悔するじゃないか。自分で言ったことも忘れちゃったのか私は。
しばらく歩いて、アパートの前に着いた。
「じゃあ、ここまででいいかな。」
「はい、わざわざありがとうございました。」
「ううん、当たり前のことをしただけだよ。じゃあ…」
「あ、あの!まってください…」
「え?うん、どうしたの?」
一段と強く降る雪が、故郷の秋田を思い出させてくれている気がして少し心が穏やかになった。
「あの…お兄さん。いつも私に優しくしてくれてありがとうございます。」
「ううん、さっきも言った通り当たり前のことをしているだけだよ。」
やっぱりお兄さんは優しいな。
勇気を出して息を吸う。
「ほんたら優しいあんちゃのことがすげ大好きだ!」
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