4部分:第四章
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」
「主の好みの話じゃな」
「全くね」
妖しい笑みをまた見せた。
「黒魔術師に相応しい仕事でもあるし」
「では。受けるのじゃな」
「観光だけで来たのじゃないわ」
今度の返答はこうであった。
「わざわざここまでね。それはわかってくれていると思うけれど」
「うむ。では報酬は銀行に振り込んでおくぞ」
「全額なの」
「仕事は必ず果たしてくれるのは知っておるからな」
笑って沙耶香に述べた。
「一括払いじゃ」
「そうね。それは安心して」
今度は自信に満ちた笑みになる。沙耶香は依頼された仕事はこれまで必ず果たしてきている。それが黒魔術師としての彼女の誇りでもあるのだ。
「仕事が失敗した時は」
「主が死ぬ時か」
「黒魔術師の仕事はそういうものだから」
笑みが変わった。空虚さを含んだものになっていた。
「生か死かね」
「面白い心掛けじゃな。相変わらず」
「その分生きるのは楽しませてもらっているわ」
こうも言うのが沙耶香であった。
「何かとね」
「では今回も楽しみながら頼むぞ」
「わかったわ。仕事のやり方は私のやり方で行かせてもらうわ」
「そこまで拘束するつもりはわしにもないわ」
老婆はその耳まで裂けている口を思いきり開いて笑ってみせた。
「そうしたところは主に任せる。いいな」
「ええ。それさえ守ってもらえるのなら」
すっと笑って老婆に応える。
「受けさせてもらうわ」
「うむ」
老婆は沙耶香の言葉を受けて微笑む。そうしてまた言うのであった。
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