第三章
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「よかったわね」
「次はあんたよ」
「そうね、就職してからね」
「相手見付けなさいよ」
「そうするわ、それとね」
「それと?」
「結婚式はどうするの?」
その形式もだ、彼女は尋ねた。
「それで」
「そうね、それはね」
「それは?」
「仏式でいくわ」
タイ仏教のそれでというのだ。
「そうするわ」
「そっちもお話してなの」
「決めたのよ」
「ふうん、仏式ね」
「それでいくから」
「じゃあウェディングドレス着ないのね」
「あっちの方がよかったから」
仏式の方がというのだ。
「そちらの方がね」
「そうなのね」
「そう、チェッタイでね」
ゴーラは満面の笑顔でタニヤに答えた。
「いくわ」
「チェッタイね」
「あんたも着たいでしょ」
「そうね、ウェディングもいいけれど」
実際にとだ、こう答えたタニヤだった。
「チュッタイはね」
「いいでしょ」
「ええ、本当にね」
「それ着るから」
「そのチュッタイ姿楽しみにしているわ」
「それじゃあね」
こうしたことを話したのだった、そしてだった。
ゴーラは両親にも兄にもその事情を話した、三人共笑顔で彼女の結婚を歓迎した。そしてその式もいいとした。
「仏式ならな」
「問題はないわ」
「ああ、仏教徒だからな」
三人共それでよしとした、こうしてゴーラの式は仏式で行い彼女はチュッタイを着ることになった。そしてその式では。
ゴーラは髪を奇麗に上でまとめてその頭に金の冠を着けた。手にも金のブレスレットを二つ程着けて首にはやはり金色の細工がされてあるネックレスを着けた。
筒状の布パーヌン、深紅で緑や黄色、白で花や十字型や斜線の模様を入れた正面にプリーツを寄せたくるぶしまでのスカートを履いて金や銀の細工のバックルのあるベルトを締めている。靴は黄色い奇麗なものだ。
スカートよりも緑と黄色が多い深紅の上着はビスチェになていて肩衣であるサ=バイ、やはり深紅で緑や黄色、白でみらびやかな模様が刺繍されている服を羽織っている。見ればどの服もタイシルクで仕立てられている。
服には仏塔が所々金糸で刺繍されている。その金糸や銀糸と絹の光沢が実に見事だ。そのチュッタイを着た姉の姿を見て。
タニヤは目を瞠ってだ、こう言った。
「凄いわ」
「どう?奇麗?」
「チュッタイって」
「ちょっと待ちなさい」
そのチュッタイを着たゴーラは妹の今の言葉にむっとして返した。
「何でそこでそう言うのよ」
「だってそのチュッタイ本当にね」
「奇麗だからなのね」
「そんな奇麗な服あるのね」
「借りものだけれどね」
「そこはウェディングと同じなのね」
「こんな高い服持ってるって王族の方々かお金持ち位よ」
それこそというのだ。
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