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ラコーン=ナイ
第五章

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「いや、凄い」
「それじゃあな」
「こうしたことをして」
「そしてなんだ」
「踊るって」
「最高だよ」
 こう話すのだった、踊りは好評だった。
 その評判を聞いてだ、プンミー達も話した。
「評判よかったね」
「本当にね」
「アイディアの勝利だね」
「プンミーも」
「うん、それで何かね」
 言いだしっぺのプンミーはだ、笑って述べた。
「目覚めたよ、僕」
「目覚めたってまさか」
「服を着てお化粧までして」
「それでなんだ」
「目覚めたんだ」
「うん、趣味になったよ」
 女装がというのだ。
「だからこれからもするよ」
「何か意外なことになったな」
「まさかプンミーが女装に目覚めるなんてな」
「我が国じゃ多い話だけれど」
「それでもな」
「プンミーがそうなるなんてな」
「僕も意外だよ、けれどね」
 それでもとも言う彼だった、そしてだった。
 実際にプンミーは女装に目覚めて以後そちらの趣味もした、時々ラコーン=ナイの衣装も着て踊る様になった。動画サイトでもそれは好評だった。
 その彼にだ、服を貸した親父が彼が店の馴染みの客になってそのうえで女装の服を借りる時に言った。勿論ラコーン=ナイの服は文化祭が終わったら全て返した。汚したり傷を付けることなく。
「面白い趣味に目覚めたね」
「はい、何か」
 プンミーも笑って応えた。
「自分でもそう思います」
「それでまただね」
「女装してみます、今度は」
 その借りる服を見て言うのだった。
「フライトアテンダントに」
「楽しいかい?」
「かなり」
「それは何よりだよ、それじゃあね」
「これからもですね」
「女装を楽しめばいいよ。幸い我が国はこうしたことには寛容だ」
「有り難いことに」 
 プンミーもそのことに感謝していた、タイの寛容さに。
「ですから少し言われますけれど、友達に」
「それでもだね」
「はい、楽しませてもらってますし」
「これからも楽しむね」
「そうさせてもらいます」
 親父にも言うのだった。
「お化粧の方も」
「メイク次第で変わるからね」
「顔も雰囲気も」
「そっちも勉強しているみたいだね」
「はい」
 実際にとだ、プンミーは親父にまた答えた。
「楽しんで」
「それは何よりだ、じゃあ今回も楽しむんだよ」
「そうさせてもらいます」
 大柄な身体だが女の子そのものの動作で応えた彼だった、彼にとってはあらゆる意味でターニングポイントとなった文化祭となった。宮廷舞踏ラコーン=ナイを踊ったそれは。


ラコーン=ナイ   完


                        2015・7・25
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