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幼馴染みがTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
幼馴染がTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
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え……」

 葵は、顔を一層青ざめさせて、硬直してしまった。

 何だ? 何か理由があるのか? だとしたら考慮してやりたい……ところなのだが、残念ながらそうしているヒマは無いと直感的に感じた。もう葵は倒れそうなくらい顔を青くしているのだ。

「いいから!」
「ふぇっ!?」

 無理やり彼女の腕をとると、家の中に引きこんだ。悲鳴がなんか女の子っぽかったのはこの際無視する。無視だ。ああ。

 

 ***



「……まぁ、座れ」
「う、うん……」

 へんな空気が俺達の間に流れる。

 ぺたん、と床に座り込んだ葵は、もはやどこからどう見ても女だ。俺と大体同じくらいか少し低い程度の伸長だったはずなのに、貸したジャージはだぼだぼだ。
 残念ながらさっぱりときめかないが。中身が男だと知っているからだろうか。

 大きなうるんだ瞳でこちらをじーっと見てくる葵を見つめ返していると、なんか変な気分になって来るのでやめた。同時期に彼女も目を逸らす。

「……何があった?」

 先ほどと同じ質問をする。

「……わからない」

 葵も同じ言葉で返す。

「とりあえず状況を整理しよう。お前はTSして女になった。で、なんでか知らないが俺の所に来た。この土砂降りの中でだ。Why?」

 精一杯イノセントを込めて言ってみたつもりだった。

 が。
 彼女には逆効果だったのか、ざっ、と顔を青ざめさせると、ガタガタと震えはじめた。

「お、おい……?」
「逃げてきたんだ……あの人たちから……いいや、アイツらから……!」

 悲鳴混じりの悲痛な叫びだった。何があったのか。この時点で俺は、なんはとなく察しかけていた。


「ボクがTSしたことに気が付いたのは、今日の10時ごろかな……昼寝をして、起きたら女になってた」
「……あり得るのかよ、そんなこと」

 俺の口から思わずそんな疑問が飛び出る。葵は精一杯に苦笑いすると、「あり得たんだよ」と言った。

「最初は、夢かと思って。でも、何時まで立っても戻らなくて。それで母さんに相談しに行ったら……あの人……ううん、アイツ、なんて言ったと思う……?」

 アイツ。
 礼儀正しい葵が、寄りにもよって母親にそんな事を云う訳が無い。相当、凄まじいことがあったのだ。

「『まぁ、なんて不思議なんでしょう。サーカスの見世物にでもしようかしら』だよ……? セージ、母さんの職場、知ってるでしょ」
「ああ、まぁな……」

 葵の家はそこそこ貧乏だ。俺は諸事情で一人暮らしだが、金はある。俺が幼少期から葵とよくつるんでいた理由の一つはそこでもあるのだが……とにかく、葵の母親は俗にいう水商売の担い手だった。サーカスっつーのは……まぁ……世界史に詳しい
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