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幼馴染みがTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
幼馴染がTSしたので欲情しないようにするのが大変なんだが
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因みに小学生の時に葵が好きだった女の子にはついぞ告白しなかったと思う。確実にイケたと確信していたんだがな……。

 取りあえずこれだけ確証があれば問題はあるまい。何があったのか知らないが、コイツが本当に葵である確率はかなり高くなってしまった。
 だがまだ確定ではない。俺は奴自身と俺しか知らない過去の禁断のなんとやらを紐解くことにした。


「中学生の時に名乗っていた厨二名(ソウルネーム)は?」
「くっ……《聖十字の右(シャイニングクロスライト)マルバレオリア》!!」
「よろしい。因みに俺は?」
「《邪十字の左(ダークネスクロスレフト)サルバザラシュストレ》。決めゼリフは『暗黒の光の前にひれ伏さぬモノは無し!』」
「くっそそこまで言わんでええわぁぁぁッ!」
 
 畜生的確に古傷をえぐってきやがった!
 スタァン! と思わず突っ込みを入れてしまう。

「ひゃっ!」

 ぷにん、という柔らかい感触と、女の子らしい悲鳴と共に、黒髪少女が後ろに下がる。やばい、なんかものすごいあったかかったぞ……ってそう言う場合じゃなくて!

「お前……本当に本当に葵なのか……?」
「だ、だから言ってるじゃないか……何なら今ここで君の個人情報全部暴露することだってできるんだぜ……?」
「やめろやめてくださいおねがいしますわかったから!」

 くっそ、完璧な返しだ……。何というかこの内弁慶さまでそっくりだ。

 ここまで来たらもはや認める他あるまい。
 この少女は、俺の親友である小野塚葵で間違いない、と。

 だが当然疑問は残る。何故彼は『彼女』となってしまったのか、という。胸元に目を降ろせば明らかに豊かなふくらみが見て取れるし、なんかいいにおいまで漂ってくる。

「何があった……?」

 素直に聞いてみる。すると葵は目を落し、

「わからない」

 とだけ呟いた。信じられないんだ、と言わんばかりに。

 というか俺も信じられん。幼馴染みがTSするとかどこのラノベか漫画の世界の事だ。

 あぁ、一応言っておくと『TS』というのは『性転換』の事だ。創作物に良くある題材だな。

「ぴゃくちっ!」

 そんなことを考えていると、なんだか可愛らしいクシャミを一つ、葵がくりだした。見れば既に彼……じゃなかった、彼女はぷるぷると震え始めているではないか。顔色も悪い。雨に濡れてここまで来たのだ。そりゃぁ冷えるだろう。
 
「おい、早く入れ!」

 俺は葵を、家の中に入るように促した。女の子はあまり冷やす物では無いと聞いたことがあるようなないような気がする。このままにしておくとマズイ。いろんな意味で。
 
 当然葵は喜んで家に入るだろう、と思っていた。

 思っていたのだが……しかし。


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