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機動戦士ガンダムSEED PHOENIX
PHASE-01 怒れる瞳
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いマユの腕だった。

「マ………マユ…ッ!?」

地を這うようなその姿勢のままシンは辺りを見渡す。すると岩に引っかかって、まるで真っ黒い滝を流しているような父、上半身が半分以上千切れている母が視界に入っていった。

「ぐッッっっ!!! お゛っえ゛ぇぇっッ!!!」

急激に襲ってきた吐き気。嘔吐するシン。そして涙が堰を切ったように溢れ出した。シンがもがき苦しんでいる間も、モビルスーツ同士の空中戦が持続している。さらにもう1機。真紅の装甲のモビルスーツも増えていた。

零れ落ちる涙が、たったひとつの形見の品となったマユの携帯電話にかかる。

「あっ………あ、ああァァァッ……! クッ、くぅぅゥゥゥ!」

思い出される家族の姿。そして死ぬ瞬間まで笑顔だったマユ。そしてその数秒後の変わり果てた無残な姿。

(アイツ………ゥゥゥ!!!)

シンの涙で曇った瞳に映る青い10枚の翼を持ったモビルスーツ。鮮やかに空を飛び回るがシンの眼は、その機体を追いかけ続けていた。




「わああぁぁあああああぁぁぁぁーーー!!!」

慟哭するシン。上空のモビルスーツはなおも戦い続ける。そして今新たな戦禍の種がばら撒かれた。

その後、シンはオーブの軍人に連れられて避難船へと向かっていった。そこに純白の身体に真紅の翼を持ったガンダムが現れた。

(あれは…シン・アスカか)

去っていく少年を横目で見つつ、新たに出現したガンダムは向かってきた『フォビドゥン』に対して、二丁のビームライフルを直結させ、ツインビームライフルとして撃つ。フォビドゥンはビームを見て偏向しようとするが、ビームは曲がることなく霧散、爆発し、晴れた光の中からはゲシュマイディッヒ・パンツァーが潰れて放電したフォビドゥンが現れた。シャニ・アンドラスはこの状況はまずいと判断し撤退、対峙していた『フェニックス』は地上に降りる。

「ふむ…これもまた、一つの因果ということか」

ガンダムの手がマユ・アスカの千切れた腕と本体を掴んで軽く握ると、その手が光り輝き、中から五体満足のマユが現れる。

「…貸し一つだぞ、シン」

寝息を立てているマユをコクピットに引き入れると、パイロットは重力制御装置が働いていることを確認し、新たな獲物を求めて飛び去って行った。コクピットの中で、シオカ・サラザキは口元に微笑を湛えていた。
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C.E.72年、一年半にわたった地球―プラント間の戦いは、ヤキン・ドゥーエ宙域戦を以て、ようやくの終結を見た。やがて、双方の合意のもと、かつての悲劇の地、ユニウス7において締結された条約は、今後の相互理解努力と、平和とを誓い、世界はまた、安定を取り戻そうと歩み始めていた
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