PHASE-01 怒れる瞳
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C.E.71年6月15日オーブ連合首長国オノゴロ島。
海上を埋め尽くす地球連合艦隊より一斉にミサイルが放たれる。次々と発進していくモビルスーツ。被弾し燃え落ちていくオーブの軍事施設。
足場の悪い森の中を一心不乱に駆けていく家族。家族の上空を黒いモビルスーツが急旋回していく。
「急げ、シン!!」
「マユ! がんばってぇ!!」
息を切って走る少年。シン・アスカ14歳。
(くそぉぉ! 何なんだっ!一体何なんだっ!!)
走りながら悪態をつく。少年が追いつくと、また家族は港の方へと走り出す。するとまた猛スピードで家族の上をモビルスーツが通り抜けていく。今度は青い10枚の翼を持ったモビルスーツ。その物凄い風圧に吹き飛ばされそうになる家族は地に伏せる。シンも頭を抑えて地に伏せる。
恨めしそうに空を見上げるシン。上空を我が物顔で旋回しつつ激しい戦闘を繰り広げるモビルスーツ。
「行くぞ、シン!」
「シン!!」
「お兄ちゃん!!」
シンは立ち上がり、家族はまた走り出す。家族の先には港があり、軍が用意した脱出用の船があり、今も避難する人でごった返している。
坂道を勢いよく駆けていく。途中マユの携帯電話が、ぶれる鞄からこぼれ落ちていく。
「ああん! マユの携帯!!」
斜面を転がり落ちていく携帯電話。
「そんなのいいから早く!!」
「い〜やぁ〜!!」
母親の手を引っ張りぐずるマユ。地面を蹴って勢いよく斜面を滑り降りていくシン。斜面に生えていた木の根元に携帯電話は引っかかっていた。
「よしっ!!」
素早く拾い上げるシン。示すように携帯電話を掲げる。シン視線の先には涙目になっているマユ。しかしシンの姿を見ると口元に笑みが零れる。
「お兄ちゃ…」
上空で『フリーダム』が全砲門を放つ。そして『レイダー』と『カラミティ』の砲門もほぼ同時に閃いた。
(えっ…………!?)
シンの目の前の世界が真っ白になった。音が消えた。マユが、両親が光に包まれていく。マユの笑顔が掻き消されていく。
直後、激しい爆音と共に吹き飛ばされるシン。受身を取る事もままならず斜面を転がり落ちる。
「うっ……くっ………」
ゆっくりと顔を上げる。世界が止まるような感覚。
「え……!?」
硬直するシンの表情。抉られた地面。斜面はすでにそこになかった。
「父さん……? 母さん…? マユ……?」
呆けた顔で、煙が熱が立ち込める爆心地に進むシン。何かに躓いて倒れる。
「ツッ……… !?」
息を呑むシン。そこには黒い煤が纏わりついた腕が一本落ちていた。それは細
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