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英雄は誰がために立つ
Life12 暗躍を照らす光
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 特訓10日目。

 少々時間を遡り、敵の軍勢が広域陽動作戦を開始しだした頃。
 各地で敵の襲撃を受けている所で、所用――――一応駿足のアキレウス(レウス・クロス)と会う約束をしていたので、ついでに緊急時への対応も話し込んでいた士郎が、転移魔法陣で白銀の魔剣士――――叛逆の騎士モードレッド(モード)の所に戻って来ていた。

 「状況は?」
 「・・・相当広範囲で、謎の敵共から襲撃を受けてるみたいだぞ?」
 「なっ!?まさかゼノヴィアを狙ってる奴らのか?」
 「多分そうなんだろうぜ。流石に此処までやるとは、フィリップもケイン予測出来なかったろ」
 「・・・・・・・・・・・・」

 想定外の規模に、士郎は押し黙った。
 それを横目で見たモードはため息をつく。

 「オイ、士郎」
 「・・・・・・・・・・・・」
 「こっち向け、ってか聞け!」

 落ち込み続ける士郎に頭を殴る。

 「な、何だよ?」

 殴られた士郎は完全に聞いていなかったのか、殴られた頭を押さえながら怪訝な顔をモードに向ける。
 そんな士郎の表情を見た彼女は、不快気な顔を作りながら口を開く。

 「何だよはオレのセリフだ!つか、質問は無しだ。いいか?オレはフィリップでもケインでも(・・・・・・・・・・・・)予測できなかっただろうって言ったんだぞ?にも拘らず、何落ち込んでやがる!お前はフィリップよりも頭がいいか?ケインよりも戦術眼が上か?そんな訳がない、2人よりも下だろうがっ!それなのになに全部俺の責任だなんて顔してやがるんだよ、このムッツリがっっ!」
 「俺は別に・・・」
 「嘘つけ!どうせお前の事だから、確証がなくても報告すべきだったって、責任を幾つも勝手に背負い込もうとしてるんだろ!?」
 「・・・・・・・・・・・・」

 明らかに図星だったのか、またも口を噤む。
 それを見て、モードはまたも溜息を吐く。

 「お前は何でもかんでも背負い込み過ぎなんだよ!赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)を宿したお前の弟分が悪魔になったのも、藤村組の所用で出かけてたから仕方がないってのに、勝手に自分のせいだと背負い込みやがって・・・。お前が『衛宮』だった頃にも、さんざん周りに言われてたんじゃねぇのかよ!?勿論・・・・・・・・・“父上”にもな」
 「むぅ」

 反論したくても出来ずにいる士郎に、モードは嘆息する。

 「まぁ〜たく、“父上”もとんだマスターに引き当てられたもんだな。めんどくさい」

 そんな風に皮肉るが、彼女からすれば士郎は『面倒』な存在ではあっても『嫌い』な存在ではない様だ。
 そこで、よし!と言う言葉が士郎の口から吐き出された。

 「やっと切り替えたか・・・」
 「いや、落ち込むなら何時でも出来る
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