狂宴
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前はロザリアだ」
燭台をテーブルの上に置いて……ベゼドラの目が細くなる。
「また、食べてなかったのか」
パンにスープにサラダ、果物。その他諸々、三食分きっちり残っているのを見て、呆れた溜め息を吐いた。
「最低でも一食分は消費しろと言った筈だ。今のお前はただの人間なんだぞ」
「誰が食うか、そんな物。ふくよか女が好みならガリガリに痩せてやるよ」
初めの頃はただ気持ち悪くて食欲が無かった。行為と状況に慣れ始めてからは空腹感に負けて食べられるだけ食べた。余裕が出来た今は、食べたら生物的に負けって気がする。
「……ロザリア……」
深い深い溜め息の後、ベゼドラはスープ皿を手に持って歩み寄る。
考えを読み取り、逃げる姿勢に入ろうとしたら、首輪を掴まれて壁に押し付けられた。
「痩せていようが太っていようが、死ななければ良いんだよ」
「最低だな……っ んぅっ」
スープを自らの口に含んだベゼドラが、無理矢理口移しでそれを飲ませる。
抵抗しようと手足をバタつかせるが、ベゼドラは気にも止めず、皿が空になるまで同じ事を繰り返した。
「……げほっ……か、っは……っ こ、の……悪趣味、がっ……!」
「初めから大人しく食べていれば必要無い行為なんだがな。それとも、こうされるのが望みか?」
「冗談……っ」
「なら、自分で食べろ。次に同じ事をしたら、犯しながら口に突っ込むぞ」
「発想が汚いな……ちくしょう」
口の端から溢れたスープを腕で乱暴に拭うと、ベゼドラは苦笑いを浮かべてスープ皿をテーブルに戻す。
その顔が一瞬、クロスツェルに見えた。
「っは……はは…………」
「?」
「……いや、私も案外諦め悪いなーと思ってさ」
礼拝堂で女を喰い散らかす姿に、クロスツェルの面影は欠片も無い。
はっきり言って、行為もコイツ自身も気持ち悪い。
なのに、時々クロスツェル本人を感じるのは、体そのものはクロスツェルだから……なんだろうか。
「……お前が何をどう望もうと勝手だが、此処からは出さないからな」
ベゼドラが大股に近寄って来て、首輪を繋ぐ鎖を乱暴に引き上げる。
苦しげな顔をしているのは、クロスツェルの影響だろうか。
「クロスツェルの体が朽ちるまで縛り付けてやる。実体の封印を解いたら、今度こそ……」
「殺す、か?」
鼻で笑いながら見上げれば、ベゼドラの顔が怒りとも悲しみとも思える形に歪んだ。
「……っんぐ!」
ベゼドラの左手が口を押さえて、二人の体が床に転がる。
性急に脚を開かれ、長衣を持ち上げた男が準備も無く強引に内側へと入った。
乾いていた場所が強く擦られ、痛みと圧迫感で背中が反る。
ベゼドラにも多少なり痛みがあるのだろう。苦しそうに歯を噛んで低く呻いた。
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