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黒魔術師松本沙耶香 仮面篇
20部分:第二十章
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「何も。顔は見つかりませんでした」
「そうらしいわね。頭の前の半分近くだけがなかったのね」
「はい、その部分だけ奇麗に取られて」
「同じね。それじゃあ」
 そこまで聞いてわかった。
「ニューヨークでの他の事件とも」
「それも御存知なんですね」
「当然よ。だって」
 ここで手を胸にやる。そうして後ろから丹念に愛撫をはじめるのだった。
「有名になっているから。犠牲者は美女ばかりね」
「そうです」
 またシスターは答えた。胸を揉まれて息が荒くなりかけているが。
「ただ。その手は」
「思った通りね」
 沙耶香の声が笑っていた。
「大きくて。しかも柔らかい胸だこと」
「止めて下さい」
 遂にたかりかねて言うのだった。
「こんなこと。続けるなんて」
「あら、駄目なのかしら」
 その笑った声で問う。
「それはどうして?」
「お祈りに来られたと聞いたのに」
「それはもう済ませたわ」
 嘘であったがそんなことは沙耶香にとってどうでもいいことであった。
「駅でのお話も」
「それも終わったわね。けれど」
「けれど?」
「まだ一つ終わっていないのよ」
「それは一体」
「貴女よ」
 また耳元で囁くのであった。
「貴女については。まだだから」
「私はそれは」
「そこから先は言う必要はないわ」
「あっ」
 頭の覆いを取り現われた奇麗に切り揃えられた見事な金髪を払いのけてそこの仲にある耳を軽くかじった。そうして言葉を遮ってみせた。
「教えとかそういった詰まらないことはね」
「何て人・・・・・・」
「その何て人にこれから弄ばれるのよ」 
 胸を揉む手を激しくさせる。するとシスターの声がさらに激しくなった。
「くっ、ふうっ・・・・・・」
「罪を犯したくないなんていうのは謝りよ」
 今度は誘惑の言葉を囁いてきた。これもまた計算のうちであった。
「清められるのが人ならば清められるようなことをしなければいけないのだから」
「どういうことですか、それは」
「言った通りよ」
 耳の中に舌を入れる。そうして舐め回しながら言葉を囁く。妖しい、赤い蛇を思わせる舌が穢れを知らぬ聖女の耳を侵していた。

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