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黒き天使の異邦人
第3話 一人の少女の出会いとこれからの事
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というのならばそういう訓練をしていない方がおかしいからな聞いてはいない。

 それに彼女も答えてくれているようで、本当に当たり障りのない部分しか答えていないし変な事を聞けば、彼女から学校へと報告されて戸籍やらを調べられて政府にまで話が言っても面倒なことになりそうだというのもあるから、迂闊には聞けない事も多い。


「話は変わるけど、そんな厳しい所の食事を抜いてでも買いに行くなんて余程楽しみだったんだな」

「えへへ、はい、前からすごく楽しみにしてたんです」

「へぇ、どんな本なんだ?」

「えっと、普通の小説です、恋愛物ですね」


 俺の問いかけにお茶目というか可愛らしいという表現を付けて良い少女の様子は、本当に彼女が予約していた本を読める事を楽しみにしていた事を表していた。
 やはりというか娯楽関係に関しては質を落としても、なるべく発行や発売を続けているようだといえる状況ではある。

 第二次大戦中の日本であっても供給される媒体こそ戦前よりも質を落とし、更には物を変更してでも供給されていた、まあ、日本人ならではという部分もあるかもしれないけどな。
 まあ、こんな戦時下それも困窮するレベルの状況下で恋愛小説の需要があるという事は、人間って言うのは存外逞しいのかもしれない、否、こんな状況だからこそなのかもしれない。


「そうだ、もう時間だから行かないと……」

「食事に付き合ってもらった後、話し込んでしまったから、悪いな」

「いえ、それに美味しいお弁当のご相伴に預からせて貰えたんで私としては得しちゃってます」

「美味いって言ってくれて、ありがとな」


 そう言って携帯端末(この世界の普通の民間人では持つことなど出来ない最新型だな)を確認した琴璃は立ち上がる。
 俺自身も腕時計で時間を確認すれば既に16時に差し掛かろうという時間だったので、飯を食い終わった後、結構な長い時間話し込んでいた事になる。
 立ち上がった琴璃は俺に対して頭を下げてお礼を言うと、小走りで走り去って行った。

 とりあえず今日の所は俺もアオガネに帰って今までに得た情報の整理でもしよう。
 そう考えると誰も見ていない所でアストラナガンを呼び出して、ステルス機能の一つであるASRSを展開してアオガネのある海域へと飛行するのだった。







 アストラナガンに搭乗して日本を離れてから今は太平洋上、硫黄島付近の海上を通過した辺りになる。
 どうして転移しないのかと言えば、この機体に搭載されている転移装置を使うと重力震が転移先の空間に発生するのだ、アオガネを隠している今の状況だと明らかに俺にとってよろしくない状況となるために、行きも帰りも地道に飛ぶしかないのが痛い所といえるな。


「本当にも
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