13部分:第十三章
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けであった。
「この巨大さがアメリカかしら」
「そうだね」
不意に何処からか声がした。夜の闇の中から。
「それは確かに言えるね」
「賛同してくれて有り難いわ」
「それはまたどうも」
声は笑って沙耶香に言葉を返してきた。
「お礼を言われるなんて思わなかったな」
「あら、そうだったの」
沙耶香はその声にとぼけた調子で返した。
「私は誰でもお礼は言うわよ」
「ふうん、そうは見えないけれどね」
「人を外見だけで判断するのはよくないわ。それに」
沙耶香はその身体に魔力を纏いだしていた。それで己を守るかのように。
「貴方がまさかここで出て来るとはね」
「意外だった?」
「ええ」
そう声に答える。
「何故かしら。てっきりホテルの前で来ると思ったのに」
「気が変わったんだよ」
沙耶香にそう答えてきた。
「少しね。あの人を斬るのはここでいいかなって思ったんだけれど」
「残念ね。そうはいかないで」
「まあそれはそれでいいさ」
気配がした何か不気味な気配が。
「お面は。幾らでも手に入れることができるしね」
「それは。私のことかしら」
「そうだよ」
声はクスクスと笑っていた。笑いながら沙耶香に言うのだった。
「貴女のお面。欲しいんだけれど」
「私のは。高いわよ」
気配がする方に顔を向けた。そうして言葉を告げるのであった。
「生憎だけれど」
「あれ、高いんだ」
「当然よ。そう易々とは売らないわ」
両手はポケットに入れたままだ。だがそれでも構えを取っていた。身体を声のする方に向けている。そうして既に魔力で身体を覆っていたのだ。
「それでも。いいかしら」
「いいよ、別に」
声はそれでもいいと言う。
「だったら。それでやり方があるし」
「そう」
沙耶香はそれを聞いてもやはり平気な様子を崩してはいなかった。
「それは。いつものやり方ね」
「何だ、知ってるんだ」
声はそう返されても別に驚いた感じはない。それどころかさらに近付いてきたのだった。気配は妖気だった。妖気が沙耶香に迫っていた。
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