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逆さの砂時計
ベゼドラ
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 「黙れぇぇ!!」
 ロザリア。ロザリア、ロザリア、ロザリアロザリア。愛してる。愛してる。愛してる。
 …………死なないで。
 「……っロザ リ ア」
 神父が少女の体を抱き起こして濡れた頬を引き寄せ、薄く開いた唇に柔らかく触れるだけの口付けを落とした。
 「ロザリア……」



 神父の祈りの力を、ロザリアの力を封印する物に変換した。アリアへの信仰心が集まれば集まるほど、ロザリアの封印は強固になっていく。
 女神が不完全な状態だからこそ。
 神父として洗礼を受けた器が有ればこそ、できた事だった。
 クロスツェルの血液にベゼドラの力を混ぜた香と媚薬は、ロザリアを地下室に繋いでからも二、三日の間活用した。その後は信徒の信仰心が勝手に協力してくれている。
 だが、ベゼドラは不満だった。ベゼドラの本体に掛けられた封印は解かれていないのだ。
 女神を殺してしまえば解放されるのは確かだが、それはできない。
 自力で解くしかないが、その為に必要な力は圧倒的に足りていない。今は不完全でも、女神の力が強力なのは事実だった。
 其処でベゼドラは「食事」という手段を選ぶ。
 人間が持つ生命力……特に、他者と交わった経験が無い者のそれは、悪魔には極上の栄養となる。
 復活の宴は、そうして狂乱を深めていった。


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