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魔法科高校〜黒衣の人間主神〜
九校戦編〈下〉
九校戦九日目(2)×デスサイズで刈られそうになった工作員と一科生・二科生の違いについて
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た現場を見つけ出し、取り押さえた上に尋問をしていたという事情説明。小早川先輩を担当した平河という三年生技術スタッフの泣き出しそうに歪んだ表情が、俺やあずさの瞼に焼き付いているがそれはとても悔しそうにしていた。

『それにしても小早川先輩には囁きをして、平河先輩には何もしないとはどういう事なのでしょうかお兄様?』

『あーそれね、深雪にとってはあそこでフォローを入れるべきだと思った訳だが俺は事前にストーリー原案を見ているのでね。あそこで囁きを入れると、本来起こる事が起こらなくなるからだ』

『なるほど。平河という技術スタッフは細工された事が分からなかったそうですが、もしかして横浜での事と繋がりがあるのでは?』

『その所為で選手が事故を起こして、その選手に囁きを入れたが技術スタッフには何も言わなかった。結果としては、優秀な同級生一人が再起不能にならなくなりましたが平河妹が何らかの工作をする事で横浜と繋がると』

俺らは念話で話しているが、あずさがもし平河の立場だったらあの場で逃げ出してホテルの部屋で泣いていただろう。俺は二科生であり『劣等生』と言うのは、表であり裏では『優等生』以上の本物の魔法師以上に戦える事だ。俺の実技成績は、普通だったが二科生にしたのは俺が希望したからである。入学直後の実技試験で赤点を取る生徒は、毎年五人以下だが成績としては普通である。

それが成績だとすると現実ではテストという作られた状況下に置ける『実力』ではなく、魔法師が現実に直面する諸状況への対応力を見たのであれば、評価は逆となる。開発や分析・調整作業と戦闘においても、俺の力量は超が付く程の一級品とも見るだろうな。魔法という能力だけを切り取って評価するのではなく、魔法が活用されているシーンで評価するならばトップクラスの『優等生』とも言える。

「(私達の『成績』って・・・・『一科生』って何?『一科生』と『二科生』の区別に意味なんてあるの?)」

九校戦を間近に見ていて、あずさはそんな事を考えるようになっていた。迷いであり、今まで当たり前の事として疑問を懐いた事もなかった価値観が、俄かにあやふやで頼りになく思えてしまう不安感。あずさは自らを『ブルーム』と誇り、『ウィード』と見下す幼稚的な意識を持っていない。自分の魔法技能が優れたモノであり、それ故に自分は優秀な魔法科高校生であるという自負に縁が無いという訳ではないが、俺の心眼やら心の声が聞こえて来たのか念話会議に入れといた。

『中条先輩は今迷いに入っている様子だ。中条先輩の魔法技能に対する自信は、未だに濃霧のように閉ざされた魔法師として魔工師としての未来を切り拓く勇気を与えてくれるパートナー。それ自身が意識してなくとも、魔法師としての自信が彼女の背中を押してくれるのは事実だとしか言い様がない』


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