九校戦編〈下〉
九校戦九日目(2)×デスサイズで刈られそうになった工作員と一科生・二科生の違いについて
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諸島部戦域で広東軍の魔法師が使っていたもんだ。電子金蚕の説明は烈がやってくれ」
「私にとっては役得のようですな。電子金蚕は有線回線を通して電子機器に侵入し、高度技術兵器を無力化するSB魔法。プログラム自体を改竄するのではなく、出力される電気信号に干渉してこれを改竄する性質を持つ為、OSの種類やアンチウィルスプログラムの有無に関わらず、電子機器の動作を狂わせる遅延発動術式。我が軍は電子金蚕の正体が判るまで、随分と苦しめられたものだ」
SB魔法とは『精霊』を含む自律性の非物質存在(Spiritual Being)を媒体する魔法の総称であるが、それを使う者を例えるなら幹比古が使う精霊魔法とかだ。精霊、式鬼、使い魔、霊獣とかを含むが俺的には精霊術式や神仏を召喚するのがそれだと思っている。烈が説明した事で、地面から立ち上がれぬままの男へ冷ややかな視線を俺と烈が投げたが腰を抜かしていた。
「そんじゃ烈が説明してくれたからだが、オメエはどこで電子金蚕の術式を手に入れたんだ?」
俺と烈が楽しげな笑みをしていたが、その笑みは歴戦の魔法師が敵を見下ろす際に浮かべる笑いへと変わりつつ、俺は再び聞いた。悲鳴を上げて、四つん這いでその場を逃れようとする工作員は、俺らの部下である蒼い翼の警備兵が取り押さえられていた。そんで工作員を拘束してから、場所を変えて尋問をするらしい。
「さてと一真様もそろそろ競技場に戻った方が良いだろう、それにデバイスを予備のを使わなくとも使えるように出来るだろう」
「そうだな。それにもう改めてチェックする必要性がないからな、大会委員長も運営委員も全てクビとして扱った方がいいだろう。不正工作を散々泳がせた結果がこれだしな、かつての無い不祥事である事については後々言い訳を聞かせてもらおうか」
言いながら異物を取り除いた事で、青木と共に外に出た烈だった。そんで俺はいつもの雰囲気を出したが、既に他校からは怒らせるとヤバいと噂がすぐに広まった。それと烈とのタメ口とフレンドリーな態度を取っていても、怒らずに寧ろ烈も俺の事を様付けする程だったのが不思議に思っていた。
第一高校の本部天幕に戻っても、さっきまで持っていたデスサイズを片手で肩に担いでいたので俺に向ける視線がまるで死神そのものだと思っていた。微妙なのかは知らんが、感情を持っていても怒る時は怒るさ。
今俺に向けられている眼差しは、得体の知れぬ異質な存在に対する戸惑いと恐れもあった。それに関してデスサイズをしまったが、既に遅しだったのでここに戻ってくる時にしまえば良かったと後悔した。
「お兄様・・・・」
「すまない・・・・少々トラブルが発生した事で、俺の殺気やら殺意をばら撒いてしまったようだ」
「お兄様が取った行動は、間違った行動をしていません!」
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