1部分:第一章
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くのだった。
「旅の途中のおやつは決まったわね」
くすりと笑って言う。そうしてまずは空の旅を心ゆくまで楽しむのだった。
アンカレジに着く。そこで沙耶香は一旦席を立った。そのまま機内の後ろに向かうのだった。
「少しいいかしら」
先程のスチュワーデスに声をかける。見れば他のスチュワーデス達は休憩で機内から出てしまっており彼女だけが残っていた。その彼女がいるのを見計らってここまで来たのである。
「はい?」
「少し話があるのだけれど」
「私に、ですか」
「ええ」
目元と唇の両端を微かに笑わせる。何処か仮面を思わせる妖しい笑いであった。
「いいかしら」
「はい」
ここで彼女は自分の責務を優先させた。休憩に入るつもりだったが客である沙耶香を優先させたのだ。これもまた沙耶香の読みのうちであった。
「一体何の御用件でしょうか」
「少し時間が欲しいの」
そう述べると右手を少し掲げた。そうして親指と人差し指をぱちんと鳴らした。すると部屋のカーテンがさっと閉まった。これで沙耶香と彼女は外から完全に見えなくなった。
「カーテンが」
「些細なことよ」
沙耶香は驚く彼女に対してうっすらと笑って述べた。
「こんなことは」
「ですが」
「それよりも」
心をそちらに向け続ける彼女の心を自分に向けさせた。一歩すっと前に出たのだった。
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