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支え
3部分:第三章
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ばそれでよかった。しかしさらに突っ込んで尋ねた。
「それで今どちらに」
「東京です」
「東京、ですか」
 それを聞いて嬉しいのか心配なのかわからなかった。広島や長崎ではないらしい。新型爆弾が何なのかはわからないがそれに遭ったわけではないらしい。しかし東京もかなり危ない。だから心配なのであった。
「先月からね。急に決まりまして」
「そうなのですか」
 だから姿を見せなかったのだ。手紙が来ないのは忙しいからであろうかと思った。
「あちらで空襲に遭った人達の救護にあたっておられます。昨日の電報がありまして」
「電報が」
「ええ。御国のことをね。願っておられましたよ」
「そうですか」
 生きている。そして元気なようだ。それを聞いてさらに安心した。
「またこちらに帰られると思います。お知り合いの方でしたらまたその時においで下さい」
「わかりました」
 薬をもらってその時は帰った。帰り道潤子は上機嫌で微笑んでいた。
「よかったですね」
「ええ」
 女中の言葉にも頷いた。
「忠行様が御無事で」
「東京におられたなんて」
「また戻って来られますよ。言うならば出張ですから」
「そうね。けれど」
「けれど?」
「お手紙の一つ位いいでしょうに。送って下さっても」
「軍人にはそれよりも大事なものがあるのですよ」
 女中はそう言って笑った。
「それをお察し下さい」
「そうね」
 潤子も笑った。そして二人はそのまま屋敷に帰るのであった。幸い女中は怒られずに済んだ。運がよかったしそれに潤子の機転がきいた。薬は女中をも救ったのであった。



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