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支え
3部分:第三章
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ば若しかすると忠行がいるかもしれない。そうした考えもあった。そして彼女は女中と共にその将校に案内され海軍の病院に入ったのであった。
 海軍の病院だけはあった。かなり大きい。それに施設も町の病院とは比較にならないものであった。それを見て彼女は心に安心するものを覚えていたのであった。
「落ち着かれましたか」
「はい」
 案内役を務めてくれているその軍人に答えた。
「病院というだけで。何か落ち着いてきました」
「それは何よりです」
 軍人はそれを聞いて微笑んだ。
「私はここに勤務しているのですがね。そう言って頂けると嬉しいです」
「この病院にですか?」
「はい」
 彼は答えた。
「軍医をしておりまして。細木と申します」
「細木さん」
「はい。宜しくお願いします。今こちらは何かと人手不足でして。至らない点も多いと思いますが」
 そういえば人が異様に少なかった。戦争のせいだとはいえ少し変な程少なかった。
「広島や長崎で色々とありましてね。それであっちに人を送っているのですよ」
「そうだったのですか」
「あと東京にも。帝都は何度も激しい爆撃を受けておりましてね」
「そうらしいですね」
 それも聞いていた。今日本の至る街がアメリカの爆撃を受けていた。街という街が瓦礫の山と化していたのであった。
「そっちにも人を送っていまして。おかげでこうした状況だったのですよ」
「大変なんですね、本当に」
「それが戦争ですから」
 細木はそう言って苦笑した。
「けれど貴女御一人を何とかすることはできますから。私は結核については詳しいですから」
「よかった」
 女中はそれを聞いて顔を明るくさせた。
「地獄に仏とはこのことですね」
「まあ仏かどうかまでは言えませんがね」
 苦笑を続けながらそれに答える。
「それでも医者の端くれですから。薬を差し上げることはできますよ」
「有り難うございます」
「本当はね、もっといい薬も医者もいるのですが。生憎物も人も何もない状況でして」
 人については先程言われた。ものについては嫌という程わかっていた。とにかく何もない時代だったのだから。
「せめて藤崎さんがおられればね。もっと楽ができるのに」
「藤崎!?」
 潤子はその名前に反応した。
「え、ええ」
 細木はいきなり言われたので少し戸惑いながらもそれに応えた。
「藤崎中尉ですが。御存知ですか」
「こちらの者なので。名前だけは」
「そういえば中尉は舞鶴の御出身でしたね」
「はい」
 婚約しているということは隠した。そのうえで彼に応えたのだ。
「お知り合いだったとは。中尉は今はこちらにはおられませんよ」
「そうなのですか」
 それを聞いて安心した。今までどうなったか不安で仕方ないからだ。今生きているということだけわかれ
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