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支え
2部分:第二章
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我しとったぞ。海軍さんの人がようさん怪我しとった」
「海軍さんが」
「ああ」
 女中はそれを聞いて顔色がいよいよ悪くなった。
「じゃあ」
「詳しいことはわからんがな。覚悟しとた方がいいかも知れん」
 彼はそう言った。
「何があるかわからんからな。ええな」
「はい」
 女中はそれに頷いた。
「お嬢様にもそうお伝えしておきます」
「すまんのう。いい話じゃなくて」
「いえ」
 だが女中はそれには首を横に振った。
「今はよくあることですから。それじゃあ」
「おう」
 老人は屋敷を後にした。女中はそれを見送った後で屋敷の奥に向かった。そして潤子にこのことを話すのであった。
「そう、やっぱり」
 潤子はそれを聞いても意外な程落ち着いていた。
「そんなことだろうと思っていたわ」
「宜しいのですか、お嬢様」
 女中は冷静な潤子を見てかえって心配になってきた。
「忠行様のことは」
「覚悟はしているわ」
 彼女はそう答えた。
「戦争ですもの。私も軍人の妻となる身だし」
「そうなのですか」
「ええ」
 潤子はこくり、と頷いた。
「だからね、私のことは心配しないで」
「はい」
「私のことはいいから。わかったわね」
「わかりました」
 そう答えるしかなかった。彼女は潤子の思いも寄らぬ芯の強さに心を打たれたのであった。だが実はそうではなかった。このことはやはり潤子の心と身体を打ち据えていたのであった。



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