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支え
2部分:第二章
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けれど。迎えに行って」
「はあ」
 半信半疑のまま頷いた。そして屋敷の方に向かった。すると潤子の言う通りであった。
「お邪魔します」
「あら」
 忠行を見て思わず声をあげてしまった。実に不思議な舞鶴の雨であった。
 不思議な梅雨も去った。そして夏になった。ある日突然サイレンが鳴った。
「空襲!?」
「お嬢様」
 女中が血相を変えて部屋に入って来た。
「こちらへ」
「え、ええ」
 庭の端にある防空壕に案内された。そして女中と二人でその中に入った。
 サイレンは遠くから聴こえてくる。潤子はそれを聞いて呟いた。
「街の方ね」
「港がありますからね」
 女中はそれに答えた。
「あそこには船や倉庫が一杯ありますから」
「兵隊さんを狙っているのかしら」
 潤子の顔が急に蒼ざめた。病の為白くなっている顔がさらに白くなった。
「忠行様が」
「お嬢様」
 それを受けて女中がキッとした顔で彼女に言った。
「何があっても御気を確かに」
「ええ」
 潤子はそれに頷いた。軍人の妻となる身なら何があっても受け入れなければならない。それがこの時代の考えであった。それがこの時代の常識であったのだ。
「いいですね」
「わかったわ」
 防空壕の中で頷いた。やがて大した数は来ていなかったのか空襲警報は解除された。二人はそれを受けて防空壕からゆっくりと出て来た。
「早いわね」
「偵察か何かだったのでしょうか」
 二人はそんな話をしながら部屋から出た。
「それにしては何か変なのですが」
「変」
「ええ。今までにも何回か来ていたわね」
 空襲は日本のあちこちで起こっていた。そして多くの者が犠牲になっていた。アメリカ軍は軍事施設も一般市民も攻撃の対象にしていたのだ。
「それが今回は。やけに早かった気がするわ」
「そうでしょうか」
 女中はそれには懐疑的であった。
「いつもと変わらない気がしますが」
「そうかしら」
 何か嫌な予感がしていたのである。潤子はそれを受けてこう言っていたのだ。部屋に戻って暫くしてから青い顔をした男がやって来た。
「お嬢様はいるかい?」
「貴方は」
 女中は彼のことを知っていた。長い間この家に仕えてきた老人である。歳で仕事を息子に譲ったのだ。その息子は今出征している。フィリピンか何処かにいるらしい。
「さっき街にいたんだけどな」
「街に」
 女中もそれを聞いて嫌な予感がした。
「何かあったのですか?」
「さっき空襲があったな」
「ええ」
「それでな。軍の施設が爆撃を受けたんだ。わしが見たのは火を噴く建物だ」
「兵隊さん達は御無事でしたか?」
「いいや」
 彼はそれを受けて首を横に振った。
「何人かは怪我しとった。ありゃ助からんかもな」
「そうなんですか」
「結構大勢怪
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