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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
少女、現る
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 「何だっていいだろ。そっちこそなんでそんなに必死なんだよ」

 これは、自分でもあまりにもお粗末なはぐらかし方だと思ったが、言ったしまったことは仕方ないので、相手の出方を見て黙り込む。

 「………………」

 そんな俺を怪訝に思ってか、少女は俺の問いに答えず、口を閉ざした。
 少女の視線が俺の横顔に刺さりまくっていたが、当然無視だ。

 「私の所属しているファミリアはね、すごく零細なのよ」

 しばらく少女との間に沈黙が漂ったあと、出し抜けに少女が静かに沈黙を破った。
 声音は穏やかであるものの、そこには先ほどの弱々しい気配はなく、ただ巌のような固く隠然たる意志があった。

 「…………」

 俺は話の腰を折るような不粋なことはせず、ただ黙って続きを待った。

 「それなのに、なけなしの収入を削って故郷の子供達に仕送りをしているのよ。別に嫌というわけじゃないし、皆は仕送りをするためにここに、迷宮都市(オラリオ)に来たのよ」

 どこか遠い昔の日を思い出すように少女は不似合いな遠い目をして続ける。

 「今でもできるかぎり切り詰めて生活をしているけれど、何ともしがたいのが、武器なのよ。命に関わるからここを削ることはできない。だけど、武器は摩耗するし、壊れる。新しく買い込むのにもほとんどの売り上げがもってかれるし、メンテにかかるお金も無視できない。それに、馬鹿高いポーションもダンジョンに潜る度に補充しないといけない。だから仕送りなんて本当に微々たるものなの」

 そして、自分のファミリアが今まで送ってきた困窮した生活を思い返し、その情景が眼前に浮かび上がったのか、声音が心なしか疲労の気配を帯びる。

 「だから、あんたの武器を使ったとき、私はファミリアに幸運が向いてきたと思ったよ。あんたの業物がなんであんなに安いのか、わからないし、別に知ろうとも思わないけれど、あんたの武器が必要なの、私のファミリア、【タケミカヅチ・ファミリア】にね」

 少女はゆっくりと視線を俺のものに合わせて、言った。

 「………………俺の作る武器は業物なんて褒められたものじゃない。ただの魂の抜け殻だ。だから、あの値段なんだ」

 俺はその視線から逃がれるように、顔を逸らして言った。

 「…………それを決めるのは、使い手であり、私よ。そして、私はこれを業物だと思った」

 少女は腰から刀を鞘ごと抜いて、前に突き出して、断固たる口調で言うと、突き出した腕を下ろしてから、一拍置いて、

 「………………直接契約の件、もう少し、考えてくれると嬉しいわ。じゃあ、また明日来るわね」

 あとさっきのポーション代ここに置いておくわね、と俺のよく知る高飛車な口調で、そして不思議と穏やかな声音で、言い残して開けっ放
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