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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
少女、現る
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いまだ顔を歪ませている少女に危機感を覚え、思わず語気が強くなる。

 「ちょっと、いらないって、っつ!」

 痛みに言葉を詰まらせるのを聞きながら、俺は扉を開け放って外に飛び出した。
 そして、その場ですぐさま、メニューウィンドウを呼出し、ストレージを開き、保険で買っていたポーションをオブジェクト化するやいなや、踵を返し、工房に駆け込む。

 「今の一瞬でどこに行ってたのよっ?」
 「そんなことはどうでもいい。かけるぞ」
 「えっ、ちょっ、待っ、ぶっ!」

 少女の制止の声を無視して、思いっ切りポーションをかけた。
 SAOではポーションは、時間継続回復(ヒール・オーバー・タイム)で、つまり飲んですぐに効果が現れるわけではなく、徐々に回復するという、何ともしがたい仕様で、すぐに回復するにはかなり高額な回復結晶(ヒーリング・クリスタル)を使うことになる。
 しかし、この世界では驚くことに、すぐに効果は現れるだけでなく、万能薬(エリクサー)という凄まじく高額なポーションを使えば、腕がもげようが、足が引きちぎれようが、内臓がぐちゃぐちゃになっても治せるらしい。
 しかも、飲まなくてもかけるだけで、効果が出るのだ。

 「大丈夫か?頭はもう痛くないか?」
 「………………本当に心配されてるから、何だか、怒ればいいのか、お礼を言えばいいのかわからないわ」
 「?」

 俺の問いに青い液体を滴らせた顔をむくれさせて、言った。

 「それより、思い出したのだけれど、私はあなたに用があって来たのよ」

 ポーションで濡れた前髪を払って少女が切り出した。
 それであらわになった額からは、青い液体とともにこぶが跡形もなく消えていた。

 「言っておくけど、俺は直接契約はしないぞ」

 俺は先回りするようにして言った。

 「そう言うと思ったから、今日は別の用で来たのよ」

 しかし、俺が先回りして拒否することはお見通しだったようで、少女は得意顔で言い返してきた。

 「別の用って何だよ」
 「私に、武器を三つ作ってほしいのよ」
 「………………それを直接契約と言うんじゃないか?」

 少女が真剣な目をしたから何を言うのかと思えば。
 完全に肩透かしを喰らった感じになってしまった。

 「違うわよ。オーダーメイドはオーダーメイドだけど、三つ作ってもらうのはこれっきりよ」

 ふふん、と何故か誇らしげに少女が言う。

 「…………とか言って、次は四つとか五つとか言うんじゃないのか?」
 「な、なんでわかったのよっ!」

 ということだってわかってたよ。
 全く抜け目がない。

 「とにかく、俺は何の依頼も受けるつもりはないよ」
 「なんでよっ。なんでそんなに嫌がるのよ!」
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