有波ー下校編
Part19 無意識に意識
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に生物が住んでいるわけない。
幻想郷の奴等ならもしかして……と思ったけど、大抵の奴ってちゃんとした家を持ってるんだよな。
こんな家も建てられないゴツゴツした場所に住むなんて、それこそ知能の無い妖怪くらいか……。
お、おお……なんか怖くなってきた。
妖怪よ、現れないで下さい。
お願いします、まだ死にたくはないんです。
「ねえ」
「ホワィ!?」
急に背後から聞こえてきた声。
それに驚いて跳ね上がり、携帯を取り出そうとしたが、その声が『女の子』のものだと気付いて手を止めた。
素早く背後を見てみる。
するとそこには、一人の少女がいた。
フリルをふんだんにあしらった服に、黄緑色の髪。そして彼女の周囲に浮かぶ、眼を閉ざした三つ目の瞳。
原作にも居た、無意識を操る覚妖怪。
古明地……こいし……。
地底にいるはずの妖怪が、なぜこんな所に?
「えーと……すんません、こいしさん、ですか?」
「ん?誰?貴方」
どうやらこいしで正解のようだ。
やはり俺の運はプロフェッショナルだぜ。
こんな状況で原作キャラに出会えるとはな。
「申し遅れました。私は紅魔館の執事、有波 風羽化。以後お見知りおきを」
そう名乗ると、彼女は一瞬だけ考えるような仕草を取った。
「紅魔館……あー、あの、一年前に紅霧異変を起こしたっていう?」
む?何でこいしがそんな事を知っているんだ?新聞は我が館の主によって阻止されたはず。
いや待てよ。実はあの天狗、既に何枚か配ってたんじゃないか?
あり得る。
くっそっ!あそこで安堵するべきじゃなかったのか!
次に会った時……風神録になったら覚えとけよ。主人公勢と共にボコボコにしてやる。
「でさ、その紅魔館?の執事が何でこんな地底近くの場所にいるの?」
こいしに話しかけられ、俺は元の目的を何とか思い出した。
そうだ、今は射命丸の事なんてどうでもいい。早くここから出なければ。
……あれ、いや、あれ?
何だ?さっきのこいしの言葉、何か重要な単語が入っていた気がする……。
うーん……思い出せないって事は、大した事でもなかったのかな。
って、違う、そうじゃない。
集中しろ、まずは現状把握だ。
俺は運がいい。本来、こんな状態になったら適当に彷徨う事しか出来なかったであろう。
しかし、私の傍らには原作キャラにしてラスボスクラスの存在である、古明地こいしがいる。
俺はここがどこだか分からない、しかしこいしはここが何処だか分かる。
俺は妖怪と戦う力なんて持っていない。しかしこいしは持っている。
この現状を利用しない手はあるだろうか。
いや、ない。
「こいしさん」
「ん?なに?」
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