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奇跡はきっと
1部分:第一章
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挙げている。一概に無能極まる組織とは言えないのである。ただしどうしてもその人選能力には疑問が残る組織であったが。
「あの人の息子さんな」
「生きてるのか?」
「死亡通知は出てないぜ」
 復員兵服はその家を見ながら述べた。
「とりあえずはな」
「じゃあ生きてるのか?」
「だといいな」
 この辺りは今一つわからないことだった。この戦争においては死亡通知が出ていないからといって信じられるものではなかったのだ。
「少なくともシベリアに連れて行かれた連中よりはましだろ」
「露助かよ」
 若者はここでロシアに対する蔑称を言葉に出した。
「あの連中だけは信じられねえからな」
「最近よ。あれだぜ」
 復員兵服もまた忌々しげに話す。
「共産主義ってあるだろ」
「ああ、露助の思想だよな」
「それを万歳してる連中がいるってな」
「くそったれだ」
 若者はそれを聞いて忌々しげに言い捨てた、

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