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バーチスティラントの魔導師達
計画

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「来ましたよ、エルミア。」
「あらイライヤ、わざわざ悪かったわね。」
人気のない古書店。そこに、仏頂面の女性が入ってきた。
「用件が用件です。彼を遣わすわけにはいきません。」
「てことは、ボクはアレンより優秀ってことかい?」
ひょこっと古書店の奥から、緑髪の少女が顔を出した。赤いエプロンドレスに赤いリボン、傍から見れば童話の世界から飛び出してきた女の子である。
「ふむ、ついに娘を遣わすようになりましたか。彼女の怠惰癖も慣れたものです。」
「母さんは忙しいの!で?ボクって優秀?」
「知能的には彼が上です。」
「遠回しにバカって言われてるー!エールーミーアーさーまー!!」
「はいはい、クッキーならあとであげます。」
「子ども扱いするんじゃなぁーい!!!てかイライヤとは数歳差なんだぞぅ!」
「はいはい、ビスケットならあとであげます。」
「イライヤぁ!」
じたばたと騒ぎ立てる。ふと、店の隅に白髪の少女が座っていることに気が付いた。
「ああ、キミがユイちゃんかい?こんにちは。」
「………。」
白髪の少女が顔を上げる。見つめられるだけで背筋が凍りそうなほど冷たい赤目に、緑髪の少女は頬を膨らませた。
「む、噂通りの子だね。無口で冷徹。」
「失礼よ、エリーシア。」
「はいはーい…。」
白髪の少女に背を向け、エリーシアと呼ばれた女性は奥から勝手に椅子を引っ張り出して座った。
すると突然、店の奥からバサバサッと何かが飛び立った。
「ぅわあ!?」
飛び立った何かは宙を1回転し、白髪の少女の方に停まる。どうやら少女を彫刻か何かと思ったようだ。
少女は動じることなく、そのまま止まり木としての役割に徹することにしたようでまっすぐ前を向いた。
「…ああ、あの野生児の使いですか。」
「マスター、イソガシイ、イソガシイ!」
「彼が忙しいなんて、珍しいわね?」
「メズラシイ、メズラシイ!マスターメズラシイ!」
「うるさいインコだなぁ、焼き鳥にするぞー。」
「ヤキトリヤキトリ!マスターベジタリアン!」
「そりゃ、“ハイヴァン”が動物の肉を食べるわけはありませんから。」
“ハイヴァン”は動物を操る魔導師であるため、食肉を嫌う。魚も同じである。
「さて、時間がありません。さっさと終わらせましょう。」
「ええ。では今回は具体的な計画について……。」
「やっぱ主要都市を攻めるのが鉄板だよね。っても警備が薄いところ…。」

こうして、話し合いが始まった。
白髪の少女はじっと静止したまま、それを聞いていた。
肩の上のインコも、じっと静かに聞いていた。
その内容が平穏ではなかったとしても、止めることなく。

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