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ダンジョンにSAO転生者の鍛冶師を求めるのは間違っているだろうか
出会いは突然に――そして偶然に
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でも嫌というほど思い知らされたけど、学習能力がないのだろうか。
また窮地に立たされる。
路地ということもあって、前方は背の高い壁、左右は切り立った三階建ての建物が
聳
(
そび
)
えていた。
「これを登るのは、流石に無理そう…………つまり、残された道は――」
と、言って背後を振り返った。
「こっちは行き止まりのはず。かかったわね、馬鹿が」
夜の闇に包まれた路地に駆けてくる足音とともに少女の声が聞こえてきた。
やばい、やばい。
どうしよう。
捕まるとか捕まらないとかの問題以前に…………超恥ずかしい。
ざまぁ、とか言って全力で走っていった奴が行き止まりで佇んでる絵とか。
恥ずかし過ぎるっ!!
ていうか、あちらさんは完全把握してるし、ずるくない?!
「こっちだ」
自分が少女に指を差されながら爆笑されている映像が脳裏に浮かんで、まるでその境遇に置かれているように恥ずかしさに悶えていると、横手から聞き覚えのある声が聞こえた。
ばっと、その方を見ると、行き止まりだと思っていた壁にあった金属製の錆の目立つ扉が僅かに開いていた。
俺は地獄に垂らされた蜘蛛の糸に
縋
(
すが
)
るように、その扉に飛びつき、中に入った。
いや、入ったというのは、間違いだったみたいだ。
俺は行き止まりだと思っていた壁の向こうに
出ていた
(
・ ・ ・ ・
)
。
「あ、ありがとうございます。椿さん」
俺はその扉を外から開けてくれた人物、着物に身を包む椿・コルブランドに頭を下げた。
「勘違いするな」
だけど、椿は俺に一瞥も与えず、閉じた扉に掛け金をかけながら、敵意のこもった声音で言った。
これが初めて言葉を交わした瞬間だった。
全然感動できないけど。
「な、何を――」
「黙れ」
「はいっ」
俺は椿の日本刀のように鋭利な声に一瞬で口を閉じた。
「あれ、こっちに来たはずなのにっ。道を間違えた?」
そのすぐ後に、扉の向こうに例の少女の声が聞こえた。
黙れって、そうか、追っ手に気付かれないためか。
いやぁ、(生理的に無理だから)黙れ、と言ったと思って本当に死にたくなるほど落ち込んだけど、よかった、そうじゃなくって。
「ちっ、逃がしたわ」
凄まじい舌打ちとともに少女の足音が遠退いた。
それに胸を撫で下ろして、俺は椿に向き直った。
「それで、さっきは何を――」
「黙れ」
…………えっ、あれ?
追っ手が来たから黙れ、っていう意味じゃなかったの?
「
手前
(
てまえ
)
は貴様と馴れ合うつもりはない。今回は、ただ貴様の
奇
(
き
)
っ
怪
(
かい
)
な
業
(
わざ
)
を外部に
漏
(
も
)
れさぬためで、貴様のためでない」
「………
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